目次
第1問 動物のコミュニケーション
第2問 ツール・ド・トランプ
第3問 人のタイプは2つだけ
第4問 ドジのチャンピオン
第5問 虹
第6問 アインシュタイン博士の言葉
第7問 食べるダイエット
第8問 会話のキャッチボール
第9問 蚊
第10問 竹
第11問 テレビの影響
第12問 カラー柔道着論争
第13問 とうふ
第14問 高齢化社会
第15問 父の教え
第16問 時間
第1問 動物のコミュニケーション
Animals communicate with each other not only with sounds and movements, but with smell. (1)Most animals that live in herds depend on smell to keep together. And, of course, we know how dogs recognize each other by smell.
Apes are supposed to be among the most intelligent of animals, ( 2 ) they really have no better "language" than other animals. They make many sounds and expressions of the face to communicate their feelings of anger or hunger or joy, but they have nothing like the words of human speech.
By the way, unlike human beings who have to learn how to talk, apes and other animals know their "language" by instinct. They will make the right kind of cries and sounds and expressions even if they have never seen another animal like themselves before.
Birds, however, learn their way of singing, at least in part. That's why a sparrow brought up among canaries will try to sing like (3)one. It has been learning the ( 4 ) "language"!
問1 下線部(1)を和訳せよ。
問2 空所(2)に入れるべき語を一つ選べ。
and,but,so,because
問3 下線部(3)を2語で書きかえよ。
問4 空所(4)に入れるべき語を一つ選べ。
right,wrong,wonderful, unknown
[語句と構文]
□communicate with 〜 〜と意思を伝えあう
□not only 〜 but (also) … 〜ばかりでなく…も
□sound 音声、音
□movement 動作、身振り
□live in herds 群をなして暮す
□depend on 〜 〜に頼る
□keep together いっしょにいる、離れない
□recognize 見分ける,認める,認識する
□ape サル
□be supposed to be 〜 〜であると思われている
□be among +(最上級) 〜のうちの1つである
□intelligent 知能の高い
□no better 〜 than … …とまったく変わらない
□make many sounds 多くの音声を発っする
□make many expressions of the face 顔の表情をいろいろ変える
□feelings 感情
□anger 怒り(形容詞angryの名詞形)
□hunger 空腹、飢え(形容詞hungryの名詞形)
□human speech 人間の話し言葉
□by the way ところで(話題の転換に用いる)
□unlike 〜とは異なり
□human beings 人間
□by instinct 本能により
□the right kind of 〜 適切な種類の〜
□even if 〜 たとえ〜でも
□however しかしながら(副詞だが接続詞的な働きを持ち、前に述べたことを受けて、これから述べることにつなぐ)
□one's way of 〜ing 〜するしかた
□at least 少なくとも
□in part 部分的に
□That's why 〜 そういうことで〜である
□sparrow スズメ
□bring up 育てる
□canary カナリア
[本文の主旨]
動物はにおいをもコミュニケーションの手段にする。サルは感情を伝えあうために多くの音声や表情を用いるが、人間の言葉のような言葉は持っていない。動物たちは「言葉」を本能的に知っている。 鳥はさえずり方を学習する。
[全文訳]
動物たちは互いに、音声や身振りばかりでなく、においによっても意思を伝えあう。群れをなして暮しているたいていの動物たちは、集団としてのまとまりを保つためににおいに頼っている。そして、犬がどのようにしてにおいによって相手を認めあうのか、私たちにはもちろんわかっている。
サルは動物たちの中で最も知能が高いとされているが、実際のところは、ほかの動物たちと同じ程度の「言葉」しか持っていない。サルは怒りや空腹や喜びの感情を伝えあうために、多くの音声を発し、顔の表情をさまざまに変えるが、人間が話し言葉において使う単語のようなものは持ち合わせていない。
ところで、人間は話すことを学ばなければならないが、そういう人間とは異なり、サルやほかの動物たちは自分たちの「言葉」を本能的に知っている。彼らは、以前にたとえ見たことがなくとも仲間の者に対しては適切な叫び声や音声を出し、適切な表情をこしらえる。
しかしながら、鳥はさえずり方を学ぶ。(全部ではないにしても)少くとも部分的にはそうだ。カナリアたちに混じって育てられたスズメがカナリアのようなさえずり方をしようとするのは、そのためである。そのスズメは、今まで間違った「言葉」を学んできたというわけになる!
[解答と解説]
解答
問1 群をなして暮しているたいていの動物たちは、集団としてのまとまりを保つためににおいを頼りにしている(においに頼っている)。
問2 but
問3 a canary
問4 wrong
解説
この文章は、動物のコミュニケーションのしかた、あるいは、動物の「言葉」をテーマにした文章。本文中に引用符のついた"language"が3回出てきているが、これは人間の言葉とは異なるので、ふつうにlanguageと呼ぶことはできないが、それでもコミュニケーションに使われるものとしては似ているので、その似ているものであることのしるしとして引用符でくくったもの。この引用符は、ほんものとはちょっと違いますよという意味のしるしだ。
問1 関係代名詞のthat、depend on 〜、to不定詞がポイント。文の主部は、most animals that live in herds。thatは主格の関係代名詞。herdは「群れ」という意味。inは「あるものが取る形」を表すもの。たとえばin a circle(円を描いて)や、in a line(列になって)などのinと同じ。なぜ複数形になっているのかは「いくつかの群れ」という意味を含むから。この「いくつかの」は必ず訳出しなければならないものではない。
depend on 〜は「〜に頼る」。to keep togetherのto keepは「目的」の意味を表す副詞的用法の不定詞。keep togetherは「まとまっている」という意味。「togetherでいる状態を保つ」が原義。文型的にはkeep being togetherのbeingの省略と考えられる。keep 〜ing「〜したままでいる」。being togetherはbe together(いっしょにいる)の分詞形と考えられる。
問2 動物の中でも最も人間に近いと思われているサルについての段落。この段落は2文でできているが、後のほうの文が前の文の内容とほぼ同じようなことを言っていることに注意しよう。後の文は前の文の言いかえにすぎないが、このように少し言いかえて並べると、意味に奥行きが生れる。解答は後の文のコンマの後にあるbutが、そのまま入る。
問3 この問題は何よりもまず、このパラグラフの意味がつかめていないと解けない。少くともa sparrow brought up among canaries will try to sing like...の意味がわからなくてはならない。brought up among canariesは過去分詞の形容詞的用法で、which was brought up among canariesと言いかえることができる。willは「習性」を表す。「だろう」という意味ではなく、「〜するものだ」という意味である。この部分はまわりがカナリアであると、スズメでもカナリアのように鳴こうとするということを言っている。like 〜「〜のように」。
問4 前段落のrightの意味がわかれば解ける。the right kind of cries and sounds and expressionsのrightである。 rightは「正しい、適切な」という意味だが、この文章の場合の「正しさ、適切さ」とは、第3段落の内容からして、another animal like themselves(自分の仲間)に会ったことがなくても自分自身の叫びごえや表情ができるという正しさ、適切さであることをつかむ。カナリアの中で育てられたスズメには、この正しさがわからない。そのスズメは、rightでない、rightの反対であるwrongの、languageを学んできたと言ってもよい。
コラム 動物のコミュニケーション
このテーマのものとしては、ハチの尻振りダンスの話も有名。ハチはこのダンスにより、仲間に食べ物のありかを伝える。
コラム 起承転結
起承転結(きしょうてんけつ)とは、漢詩と呼ばれる、昔の中国詩がとったパターンのこと。起は「言い起こす」、承は「受ける」、転は「展開する」、結は「結ぶ」を意味する。このパターンは中国詩に限らず、一般的な文章のパターンとしてもかなり認められる。というのも、このパターンに従うと文章に落ち着きが出るからである。今回の本文もこのパターンに近い。「動物はにおいでコミュニケーションする」→「サルは賢いと思われているがそうでもない」→「ところで動物の言葉は本能に基づく」→「でも鳥は学習する」。きれいな起承転結ではないが、かなり起承転結に近い.
第2問 ツール・ド・トランプ
Cycling is becoming a popular sport in America, especially since an American, Greg LeMond, recently won the Tour de France bicycle race in Europe. An American businessman, Donald Trump, has tried to (ア)copy the French by starting his own bicycle race, the Tour de Trump.
About 20 colleges in America have intercollegiate cycling matches. More than 50 colleges hold their own programs. At Indiana University a 50-mile bicycle race called the "Little 500" is held every year. More than 25,000 people come to watch it. Another college contest is the 77-mile Yale-Vassar relay race from New Haven, Connecticut to Poughkeepsie, New York.
(イ)Mountain bike racing has also caught on in the past few years. At the Kamikaze cycling competition, in Mammoth, California, cyclists ride over a rough course which starts at an altitude of 10,420 feet and finishes at an altitude of 8,950 feet. In 1990, from September 11th to 16th, the first World Mountain Bike Championships were held in Durango, Colorado. The Colorado course runs over rocky trails and has a 1,500-foot vertical drop.
Cycling is safe, fun and doesn't pollute the air—(ウ)three good reasons why it will endure as a sport.
(注) the Tour de France bicycle race:ツール・ド・フランス自転車レース
問1 下線部(ア)の意味に最も近いものをA〜Dの中から1つ選びなさい。
A. compete B. defeat C. imitate D. steal
問2 下線部(イ)をほぼ同じ意味になるように書きかえるとき,空所を満たすのに最も適当な英語(1語)を本文中から抜き出しなさい。
Mountain bike racing, too, has become ( ) in the last couple of years.
問3 下線部(ウ)の前に語句を補って入れるとすれば,最も適当なもの(2語)は何か。
問4 次の問いに対する答えとして最も適当なものをA〜Dの中から1つ選びなさい。
How do Americans find cycling these days?
A. They find it fascinating but full of risk. B. They find it pleasant but harmful to the health. C. They find it strange and funny. D. They find it attractive and enjoyable.
問5 次の1〜5には本文の内容に合っているものが2つある。その番号の組み合わせをA〜Hの中から1つ選びなさい。
1. The Tour de Trump bicycle race is run all around France.
2. It is said that an average of 25,000 spectators turn out to watch famous races held all over America.
3. The Yale-Vassar race, participated by teams of college students, is a 77-mile contest between New Haven and Poughkeepsie.
4. The course for the Kamikaze cycling competition, which is 1,470 miles long, is tough and dangerous.
5. The Colorado course, where the first Mountain Bike Championships took place, is a rocky one and has a difference of 1,500 feet in altitude.
A. 1-2 B.1-3 C.1-4 D.2-4 E. 2-5 F.3-4 G.3-5 H.4-5w
[語句と構文]
□be becoming 〜 (だんだん)〜になってきている(=be getting 〜)
□especially 〜 特に〜(ここではsince 〜節全体にかかっている)
□since 〜 〜以来(主節は現在完了形になるのがふつうだが、is becomingが現在完了と同等)
□Greg LeMond グレッグ・レモン(1961- )
□Tour de France ツール・ド・フランス(フランスでの自転車レース)
□copy 写す、まねする
□the French =the French bicycle race。
□by 〜ing 〜することにより
□the Tour de Trump the Tour de Franceをもじったもの。
□intercollegiate 大学間の」←inter(〜の間)+ collegiate(collegeの形容詞形)。日本では「インカレ(と言っている)
□more than 〜 〜以上
□program プログラム
□Indiana University インディアナ大学
□A called B Bと呼ばれるA(calledは形容詞的用法の過去分詞)
□Yale-Vassar エール・バッサー大学対抗の
□relay リレー
□catch on 受け入れられる
□the past 〜 years 「ここ〜年(=the last 〜years )
□Kamikaze カミカゼ、神風特攻隊のような
□competition 競争、競技(会 )
□Mammoth, California カリフォルニア州マンモス
□cyclist 自転車に乗る人
□over 〜 〜に沿って(端から端まで)
□rough 起伏の多い
□start at 〜 〜からスタートする
□an altitude of 〜 〜の高度(の地点)
□Durango, Colorado コロラド州デゥランゴ
□over 〜 〜を越えて
□rocky 岩の多い(← rockの形容詞形)
□trail 跡、(人・動物などが通ってできた)道
□vertical 垂直の、縦の
□pollute 汚染する
□reason why 〜 〜である理由( whyは関係副詞)
□endure 持ちこたえる、続く
□as 〜 〜として
[本文の主旨]
自転車レースはスポーツとしてアメリカで人気が出てきている。 アメリカでは大学対抗の自転車競走大会もさかんである。山中を走るマウンテンバイクの競走も最近人気が出てきた。サイクリングがさかんになるのはもっともである。
[全文訳]
サイクリングはアメリカで人気のあるスポーツになってきているが、アメリカ人のグレッグ・レモンが最近ヨーロッパでのツール・ド・フランスの自転車レースに優勝してからは特にそうなってきている。アメリカ人ビジネスマンのドナルド・トランプは、自ら企画した自転車レース、ツール・ド・トランプを始めて、フランスのものを真似しようとしている。
大学間自転車競走大会を持っているアメリカの大学は、約20ある。50を超える数の大学が、独自の大会プログラムを持っている。インディアナ大学では「リトル500」と呼ばれる50マイルの自転車競走が毎年開かれる。それを見に来る人は2万5千人以上になる。大学対抗戦としては他に、コネチカット州ニューヘイブンからニューヨーク州ポキプシーまでのエール・バッサー大学対抗の77マイルリレー競走がある。
山間を走る自転車競走も、ここ数年において受け入れられた。カリフォルニア州マンモスでのマウンテンバイクによるカミカゼ・ダウンヒルにおいては、競走者は高度1万420フィートのスタート地点から高度8千950フィートのゴールまでの起伏の多いコースを自転車で行く。コロラド州デゥランゴでは、1990年の9月11日から16日まで、第1回世界マウンテンバイク選手権大会が開かれた。そのコロラドのコースは岩だらけの山道で、千5百フィートの高さを下るのである。
サイクリングは安全で楽しく、空気を汚染しない。スポーツ種目として続くと考えられる、もっともな理由3つを持っている。
[解答と解説]
解答
問1 C
問2 popular
問3 these are
問4 D
問5 G
解説
問1 Tour de Franceはよくテレビでも取り上げる有名なレース。そのレースを(現大統領の)このアメリカ人はthe Tour de Trumpのように自らの名前をつけて取り入れようとした。そこからcopyの意味(「真似る」)を推測することができる。選択肢の動詞の意味はA. compete「競争する」、 B. defeat「打ち破る」、C. imitate「真似る」、D. steal「盗む」であるから、最もふさわしいのはC。
問2 問われている文は第2パラグラフの第1文の言い換え。それが第1パラグラフのトップの文と対応していることに注意すると、alsoが何に対して「もまた」なのかつかめよう。第1パラグラフ第1文で「サイクリングは人気のあるスポーツになりつつある」とあり、それに対して、Mountain bike racingもまた、と言われている。このことがわかれば、たとえcatch onの意味がわからなくても、問題を解くことができる。
問3 three good reasonsとあるので、その3つがどこに書かれてあるのか探す。ふつう直前に書かれてあることか多いので、直前を見てみる。すると、safe、fun、doesn't pollute airと、ちょうど3つある。これらをthree good reasonsと呼んでいる。英語でこのことを表せば、safe, fun, doesn't pollute air. These are three good reasons...となろう。このダッシュ(—)は同格関係を表すもの。同格関係とは「イコール」のことと考えてよい。
問4 問いは「近頃アメリカ人はサイクリングのことをどう思っていますか」の意。問3で問われた文の前半の内容を聞いている。Cycling is safe, fun...は筆者の意見であるとともに、アメリカ人一般の意見でもある。だからサイクリングに人気がある。選択肢の文の意味は次ぎのとおり:
A.「魅力的だが危険に満ちていると思っている」。
B.「楽しいけれども健康に害があると思っている」。
C.「奇妙でおかしなものと思っている」。
D.「魅力的で楽しいと思っている」。
問5 まず、本文のどこに書かれてあるのか、または、ないのか探す。書かれていても内容があっていないものはだめ。
1. 「ツール・ド・トランプの自転車レースはフランス中で行われる」。the Tour de Trumpは第1パラグラフに登場。「フランス中で行われる」とは言われていないので×。all around 〜「〜のあちこちいたるところで」。
2. 「アメリカ中で開かれるいくつかの有名なレースを見るために平均して2万5千人の観客が集まると言われている」。2万5千という数は第2パラグラフに出てきたが、これはLittle 500のことだから×。It is said that 〜「〜と言われている」。turn out to 〜「〜しに出かける、集まる」。an average of 〜「平均〜」。
3. 「大学生のチームが参加するエール・バッサー大学対抗の競走は、ニューヘイブンとポキプシーとの間の77マイルの競走である」。これは第2パラグラフ最後の内容と合っている。
4. 「1470マイルの距離のカミカゼ自転車競走のコースは、困難で危険である」。カミカゼは第3パラグラフに登場。内容はいかにも正しそうだが、本文に出てくる数字はaltitude(高度)だから、10,420-8,950=1,470の計算の答えは高度差で、コースの長さではない。なお、正しい高度差は1,470フィートで、これは約450m。
5. 「第1回世界マウンテンバイク選手権大会が開かれたコロラドのコースは、岩道で、千5百フィートの高度差がある」。第3パラグラフの内容に合っている。なお、この高度差はカミカゼと同程度。
コラム 複合名詞
名詞が形容詞的に使われることがある。たとえば、school boyのように。こうしてできた名詞を複合名詞と呼ぶ。今回は、50-mile bicycle race, cycling match, college contest, mountain bike racingなどが出てきた。
コラム ツール・ド・トランプ
ツール・ド・トランプはツール・ド・フランスと同じくらい、あるいはそれ以上を目指したが、1989、1990の2年間開催されただけで資金難からか主催者が入れ替わり、その後消滅したようだ。
第3問 人のタイプは2つだけ
There are only two types of people in the world, Type A and Type Z. It isn't hard to tell which type you are. How long before the plane leaves do you arrive at the airport?
(1)Early plane catchers, Type A, pack their bags at least a day in advance, and they pack neatly. If they're *booked on a flight that leaves at four in the afternoon, they get up at five-thirty that morning. If they haven't left the house by noon, they're worried about missing the plane. Late plane catchers, Type Z, pack hastily at the last minute and arrive at the airport too late to buy a newspaper.
What do you do with a new book? Type A reads more carefully and finishes every book, even though it isn't any good. Type Z *skims through a lot of books and is more apt to write in the *margins with a pencil.
Type A eats a good breakfast; Type Z *grabs a cup of coffee.
Type A's turn off the lights when leaving a room and lock the doors when leaving a house. They go back to make sure they've locked it, and they worry later about whether they left the iron on or not. (2)They didn't. Type Z's leave the lights burning and, if they lock the door at all when they leave the house, they're apt to have forgotten their keys.
Type A sees the dentist twice a year, has an annual physical *checkup and thinks he may have something. (3)Type Z has been meaning to see a doctor.
Type A squeezes a tube of *toothpaste from the bottom and rolls it very carefully as he uses it, puts the top back on every time. Type Z squeezes the tube from the middle, and he's lost the cap under the *radiator.
Type Z's are more apt to have some Type A characteristics than Type A's are apt to have any Type Z characteristics.
Type A's always marry Type Z's. Type Z's always marry Type A's.
Notes: book:(予約の)帳簿に記入する,(座席・部屋などを)予約する
skim: to read quickly to get the main ideas
margin:(ページの)余白,欄外 grab: ひっつかむ,すばやく手に入れる
checkup: a general medical examination toothpaste: 練り歯みがき
radiator: 幅射暖房器
(A) 問1 下線部(1)の"Early plane catchers"とはどういう人のことか,わかりやすく説明せよ。(日本語で)
問2 下線部(2)の"They didn't"の後に省略されている語句を記せ。(英語で)
問3 下線部(3)の"Type Z has been meaning to see a doctor."とはどういうことか,わかりやすく説明せよ。(日本語で)
(B) Type A の人とType Z の人は,それぞれどのような性格の人と言えるか,日本語で簡潔に記せ。
[語句と構文]
□it is hard to 〜 〜するのは難しい
□tell 見分ける、区別する(この意味のとき、tell+<疑問詞節>の形になる)
□how long before 〜 「〜のどのくらい前に(たとえば2 minutes before 〜の2 minutesの部分を疑問詞how longにしたもの)
□catcher (何かを)つかまえる人
□pack 詰める
□at least 〜 少なくとも〜
□a day in advance 1日前に」。in advanceが「前もって(具体的な時間はこの前に示す)
□neatly きちんと
□book (人) on (乗り物など) (人)が(乗り物など)に乘るように予約の手はずをとる
□be worried about 〜ing 「〜することについて気をもむ(worry about 〜ingよりも悩み苦しむ度合いが強い)
□miss (乗り物) (乗り物)に乘り遅れる
□hastily 急いで、あわてて(形容詞hastyの副詞形)
□at the last minute どたん場になって
□too late to 〜 〜できないほど遅く(late+< too … to 〜>と考える。[語句と構文])
□with 〜 〜に関して
□even though 〜 たとえ〜でも(=even if 〜)
□skim とばし[拾い]読みをする
□be apt to 〜 〜する傾向がある
□write in 〜 〜に書き込みをする
□margin 余白
□a good breakfast 十分な量の朝食
□grab ひったくる、ひっつかむ
□Type A's タイプAの者たち(この"'s"は複数形のしるし)
□turn off the lights 電灯を消す
□when leaving = when they are leaving。
□make sure (that) 〜 〜であることを確認する
□worry about whether 〜 〜かどうか気にかける
□whether 〜 or not 〜かどうか
□leave the iron on アイロンのスイッチを入れたままにして放っておく
□leave the lights burning 電灯をこうこうとつけたままにしておく
□They didn*t = They didn*t leave the iron on。
□if 〜 at all 仮に〜だとしても
□see the dentist 歯医者に診てもらう
□twice a year 1年に2度
□annual 毎年の
□physical checkup 健康診断
□mean to 〜 〜するつもりである」。現在完了進行形で「継続(の意味)
□squeeze しぼる
□tube チューブ
□toothpaste 歯磨き
□roll 巻く
□as 〜 〜であるときに
□put 〜 back on … 〜をもとの…にかぶせる
□the top = the cap。
□he*s lost = he has lost。
□radiator 暖房機
□characteristics 特徴
□A be more apt to 〜 thanBare apt to 〜 Aは〜し、Bは…する傾向があるが、その度合いは前者のほうが強い
□marry 〜 〜と結婚する
[本文の主旨]
人間のタイプはAとZの2つだけだ。タイプAは手回しがよく、きちんとしている。タイプZはタイプZの反対だ。タイプAは本を1冊1冊ていねいに読み通す。タイプZは拾い読み。朝食のとりかたも異なる。タイプAはきちんとしている。タイプZは電気はつけっぱなしで、鍵は忘れる。Aはしっかり健康管理する。Zは健康にむとんちゃく。タイプAは歯磨きのチューブをきちんと扱う。Zは無造作に扱う。Aの人にはZの特徴は少ない。結婚は互いに反対のタイプ。
[全文訳]
世界には2つのタイプの人間しかいません。タイプAとタイプZです。自分がどのタイプなのか見分けるのは難しくありません。あなたは飛行機が飛びたつどのくらい前に空港に到着しますか。
タイプAの早めに飛行機をつかまえようとする人たちは、少なくとも1日前には荷作りし、しかもきちんとします。午後4時出発の便に予約してあれば、その朝は5時30分に起きます。正午までに家を出られなかったら、飛行機に乘り遅れるのじゃないかと気をもみます。タイプZの遅めに空港に出かける人たちは、どたん場になってあわてて荷作りし、新聞を買う余裕もないほどになってから空港に到着します。
初めての本については、あなたはどうでしょうか。タイプAなら、ふつうの人よりも注意深く読んで、たとえ全然おもしろくなくても、全部の本を読み通します。タイプZならば、たくさんの本を拾い読みし、余白にえんぴつでよく書き込みをします。
タイプAは朝食をたっぷり食べますが、タイプZはコーヒーを1杯ひっかけるだけです。
タイプAの人たちは部屋から去るときには電気を消し、家を出るときにはドア全部に鍵をかけます。この人たちは家に鍵をかけたことを確認しに戻ったり、あとになってアイロンをつけっぱなしにしてきたのではと気をもみます。実際はそうでないのに。タイプZの人たちは部屋の電気をつけたままにし、家を出るときにたとえドアに鍵をかけたにしても、鍵を忘れたりしがちです。
タイプAは1年に2度歯医者にかかります。健康診断は毎年受け、どこか悪いのではと考えます。タイプZはこれまでにずっと医者に診てもらおうとは思っています。
歯磨きを使うときに、チューブを下のほうからしぼり、たいへんていねいに巻きあげ、いつもキャップをし忘れないのはタイプAです。チューブをまんなかからしぼり、暖房機の下になくしてしまうのはタイプZです。
タイプZの人にもタイプAの特徴があり、タイプAの人にもタイプZの特徴がありますが、その度合いは前者の場合のほうが大きくなります。
タイプAは常にタイプZと結婚します。タイプZは常にタイプAと結婚します。
解答と解説
解答
(A) 問1 早めに飛行場に行き、早めに飛行機に乘ろうとする人。問2 leave the iron on問3 タイプZの人は医者に診てもらおうという気持ちはありながら、ずっと行かないできているということ。
(B) タイプAの人はきちょうめんで、落ち着いていて、心配症だが、タイプZの人はずぼらで、そそっかしくて、のんきである。
解説
この文章の内容はもちろん極論で、極論にすることによって、いわゆるウケをねらっているのである。しかし、どことなく当っているように思える。人生の真実を突いていないこともない。
(A) 問1 early plane catchersの意味を答える。
たとえば本文中のsuch a manなどに下線が引っぱってあって、このsuch a manとはどういう人のことかというような問題ならば、「そのような人」のように意味を答えてはもちろんいけないが、この問いの場合は、意味を答えなければならない。「どういう人のことか」とは、この場合、意味を聞いている。
それは、early plane catchersという名詞句の用法をもとにしてそのように言える。この名詞句は、①主語である、②複数形である、③the などの限定する語がついていない、という3つの特徴を持っている。こういった特徴を持つ名詞や名詞句のことを「総称の主語」と呼ぶ(複数形でなくa 〜となることもある)。「総称の」とはgeneral(一般的)という意味。一般的な意味の名詞は、such a manなどとは違って、本文中のだれかを指したりしない。だから、問われているのは語句の意味だと言える。
総称の主語の最も簡単な例は、Dogs are [A dog is] faithful.(犬は忠実だ)というような文。この文は「AはBだ」という形をとる。Aの説明がBでなされる。この問いの文は動詞がbe動詞でないが、それでもいっしょ。続く部分を見る。ただし、「きちんと荷づくりする」というようなことを答えに含めてはいけない。なぜなら、聞かれているのはあくまでも語句の意味だからだ。
問2 They didn'tはtheyが代名詞、didn'tが代動詞で、要するに文全体が何かの代り。何の代りかは(2)より前から探す。they go backやthey worryは動詞が現在形だから、didn'tの時制と合わない。they leftなら合っている。ただし、didn't= didn't leave the iron on(アイロンをつけっぱなしにしていなかった)。
問3 mean to 〜は「〜するつもりだ」の意。現在完了進行形になっているので、現在までの継続の意味を表している。「今までずっと〜するつもりできている」ということである。医者に診てもらわなければと思いつつも、そのまま行かないですませている、ということ。
(B) 本文では、Type Aの人とType Zの人のふるまい方の違いがずっと述べられてきた。この行動の違いを性格の違いとして要約して示すわけである。タイプAがきちょうめんであることは間違いない。また、タイプZがずぼらであることも間違いない。設問の指示の「簡潔に」がどの程度の簡潔さを求めているのかはっきりしないが、一応「タイプAの人はきちょうめんであり、タイプZの人はずぼらである」としておいて、もっと重大な違いが本文で述べられていないかどうか確認したほうがよい。もう少し、あと2語くらいつけたしても、簡潔さは保たれるだろう。本文に戻ってみると、「じっくり対あわてる」の行動パターンの違いも目だつ。また、「心配症対のんき」の違いも目だつ。解答に示したように「〜で〜で〜だ」のような表現にしておいたほうが無難だろう。
コラム 対立をつかむ
英語の文章では、A対Bのように2つの物事を対立させて論を進めることが、日本語の文章よりも多く見られる。このような論の場合、文やパラグラフの形まで対比的になっていることが多いので、文同士の対立の場合は、この主語に対してこの主語、この動詞に対してこの動詞、といったように2文のあいだの対応関係を意識してつかむと、よい読みができる。本文では、1パラグラフ内において文同士が対立的になっている部分もあれば、隣り合ったパラグラフ対パラグラフの対立になっている部分もある。
第4問 ドジのチャンピオン
The least successful tourist on record is Mr. Nicholas Scotti of San Francisco. In 1977 he flew from America to his native Italy to visit relatives.
The plane made a one-hour fuel stop at Kennedy Airport. Thinking that he had arrived,Mr. Scotti got out and spent two days in New York believing he was in Rome.
When his nephews were not there to meet him, Mr. Scotti assumed they had been delayed in the heavy Roman traffic mentioned in their letters.While tracking down their address, (1)the great traveler could not help noticing that modernization had brushed aside most, if not all, of the ancient city's remarkable buildings.
He also noticed that many people spoke English in a distinct American accent. However,he just assumed that Americans got everywhere. Furthermore, he assumed it was for their benefit that so many street signs were written in English.
Mr. Scotti spoke very little English himself and next asked a policeman in Italian the way to the bus terminal. As chance would have it, the policeman came from *Naples and replied fluently in (2)the same tongue.
After twelve hours traveling round in a bus, the driver handed him over to a second policeman. There followed a brief argument in which Mr. Scotti expressed amazement at the Rome police force employing someone who did not speak (3)his own language.
Scotti's brilliance is seen in the fact that even when he was told that he was in New York, he refused to believe it.
To get him on a plane back to San Francisco, he was raced to the airport in a police car with sirens screaming. "See," said Scotti to his interpreter, "I know I'm in Italy. That's how they drive." *Naples: ナポリ
問1 下線部(1)を日本語に訳しなさい。
問2 下線部(2)(3)がそれぞれ指している言語の名前を英語で答えなさい。
問3 本文の内容に合致しないもの2つを下から選んで、記号で答えなさい。
(a)Mr. Scotti took a plane bound for Rome.
(b)Mr. Scotti's nephews may have been delayed in the heavy traffic.
(c)Mr. Scotti was born in Italy.
(d)Mr. Scotti successfully found the bus terminal.
(e)The police needed an interpreter in order to communicate with Mr. Scotti.
(f)Mr. Scotti was finally persuaded that he was in New York.
[語句と構文]
□the least 〜 最も〜でない(⇔ the most 〜)
□make a stop at 〜 「〜に立ち寄る」cf. come to a stop 止まる
□fuel stop 燃料補給のための立ち寄り
□Kennedy Airport ケネディー空港((New York市にある))
□thinking that 〜 〜と思って(=as he thought that 〜(分詞構文))
□believing 〜 〜と思い込んで(分詞構文)
□assume (that) 〜 〜とみなす
□be delayed 遅れる
□in a heavy traffic 交通量の激しさのために
□mention 〜のことを書く、話に出す
□while 〜ing =whileS be 〜ing。
□track down 見つけ出す
□cannot help 〜ing 〜しないではいられない
□notice that 〜 〜であることに気づく
□modernization 現代化
□brush aside 〜 〜を払いのける
□if not 〜 〜ではないにしても
□remarkable 注目すべき(語句と構文)
□distinct はっきりした
□accent なまり
□assume that 〜 〜と思いなす
□get everywhere どこにでも行く
□furthermore さらに
□it is 〜 that … …は〜である(強調構文)
□for 〜's benefit 〜のために(=for the benefit of 〜)
□street sign 街路の標識
□speak little English ほとんど英語を話さない
□in Italian イタリア語で
□bus terminal バスのターミナル
□as chance would have it 偶然にも
□fluently 流暢に
□tongue ことば
□hand 〜 over to … …に〜を手渡す、引き渡す
□there followed 〜 〜が後に続いた
□brief 手短な
□argument 言い争い
□amazement at A 〜ing Aが〜することに対する驚嘆
□police force 警察(policeとほぼ同じ)
□brilliance すばらしさ(形容詞brilliantの名詞形)
□the fact that 〜 〜という事実
□refuse to 〜 〜することを拒む、どうしても〜しようとしない
□be raced to 〜 〜へ急いで運ばれる
□siren サイレン
□interpreter 通訳
[本文の主旨]
旅行者として最もうまくいかなかったのは、スコッティーさんだ。 スコッティーさんは2日間ニューヨークをローマと勘違いしたまま過ごした。 スコッティーさんはニューヨークをローマと信じ込んだ。 スコッティーさんは、偉大な勘違いを重ねた。 スコッティーさんの勘違いには偶然も手助けした。 スコッティーさんは何でも自分寄りに解釈した。 スコッティーさんは人の言うことなどは信じなかった。 スコッティーさんは最後まですばらしかった。
[全文訳]
記録上最もうまくいかなかった旅行者は、サンフランシスコに住むニコラス・スコッティーさんである。1977年に彼はアメリカからふるさとのイタリアに親戚を訪れに飛行機で発った。
スコッティーさんの乗った飛行機は給油のためにケネディー空港に1時間立ち寄った。スコッティーさんは到着したと思い、機外に出てローマにいるものと思い込んだままニューヨークで2日を過ごした。
スコッティーさんは出迎えるべき甥たちがいなかったことについては、彼らが手紙で言っていたローマのひどい交通事情のために遅れたのだとみなした。偉大な旅行家は、甥たちの住んでいる所をつきとめようとしながら、その古い町の中のめだつ建物が、すべてではないにしてもかなり、現代化のためになくなってしまっていることに気づかざるをえなかった。
スコッティーさんはまた、多くの人がはっきりとアメリカなまりとわかる英語を話すことにも気づいた。ただし、アメリカ人はどこにでもいるものだとしか、スコッティーさんは考えなかった。おまけに、英語で書かれた道路標識がたくさんあったことについても、そういうようなアメリカ人のためなのだろうと考えた。
スコッティーさん自身はほとんど英語は話せなかったので、次に彼は警官にバスの乗り場へはどう行けばいいのかイタリア語で聞いた。偶然にもその警察官はナポリ出身の人で、同じ言語で流暢に答えた。
12時間バスに乗ってあちこちめぐった後、スコッティーさんは2人目の警官にバスの運転手から引き渡された。そこで少しやり取りがあったが、スコッティーさんはその時にも、イタリア語を話せない者を雇うなんてローマ警察もたいしたものだと驚いてみせた。
スコッティーさんの素晴らしさは、ニューヨークにいるんですよと告げられてもなお、信じようとしなかったことにある。
サンフランシスコに戻る飛行機に乗せるために、サイレンを鳴らしたパトカーがスコッティーさんを空港まで急送した。「ほらね」とスコッティーさんは通訳に言った。「やっぱりここはイタリアだ。運転の仕方がそうだもの」。
[解答と解説]
解答
問1 偉大な旅行家は、甥たちの住んでいる所をつきとめようとしながら、その古い町の中のめだつ建物が、すべてではないにしてもかなり、現代化のためになくなってしまっていることに気づかざるをえなかった。
問2 (2) Italian (3) Italian
問3 (b), (f)
解説
問1 まず大まかに構文をとらえると、cannot help 〜ing(〜せざるをえない)がある。thatはnotice that 〜(〜だと気づく)のthatで、このthat節は文末まで続いている。cannot help 〜ingは、「〜せざるをえない、どうしても〜してしまう、〜しないではいられない」という意味の熟語。やや大げさな言い方であるが、そこに筆者の皮肉が込められていて、ユーモラスな効果を生んでいる。
主語のthe great traveler(その偉大な旅行家=Mr. Scotti)も皮肉、the ancient city(=Rome)も皮肉を補助している。that節の中の主語modernizaton(現代化)は無生物主語。brush asideは、「掃くようにして払いのける」という意味。if not 〜(〜ではないにしても)は挿入句で、allはmostに対して並べられている。most以下はすべてbrushed asideの目的語。most以下は、引きのばすと、most of the ancient city's remarkable buildings, if not all of the ancient city's remarkable buildingsということ。
問2 (2) 直前に警官はナポリ出身とあり、それに続いて(スコッティーさんのと)同じことばで流暢に話したとなっているのだから、the same tongueとはイタリア語である。
(3) 単にフィーリングで解くとまちがえる可能性がある。hisが誰のことを指しているのか、文法的にとらえる必要がある。このhisが含まれている名詞的語句は、someone who did not speak his own language。代名詞が指す語句はその近くにあるという条件をここであてはめると、hisはsomeoneを指すことになる。このように文法的に構造をつかんでから、意味的にもそれでよいかどうか、確認する。
下線部(3)が含まれている文は、第2の警官が現われた後、ちょっとした言い争いがあり(There followed a brief argument)、その言い争いの中で(in which)、スコッティーさんがあきれてみせた(Mr. Scotti expressed amazement)ことが、ローマ警察が自国語を話せない者を雇うこと(the Rome police force employing someone who did not speak his own language)だった、ということを言っている。スコッティーさんの勘違いが依然として続いているという筋にも合っているし、意味的にもこれでよい。したがって、自国語とはイタリア語のことである。
問3 選択肢の意味は次のとおり:(a)スコッティーさんはローマ行きの飛行機に乗った。
(b)スコッティーさんの甥たちは、交通渋滞のために遅れたのかもしれない。
(c)スコッティーさんはイタリアで生れた。
(d)スコッティーさんはバスのターミナルをうまく見つけることができた。
(e)スコッティーさんとやりとりするために警察は通訳が必要だった。
(f)スコッティーさんはついに説得されて、ニューヨークにいるのだと考えなおした。
(a)は第1パラグラフでイタリア行きの飛行機に乗ったことがわかり、第2パラグラフで、降りたところはローマと思い込んでいるので、「ローマ行き」と言ってもよいだろう。
(b)は「...とスコッティーさんは考えた」のようになっていれば内容に合致していると言えるが、このままでは本文が示す事実に合っていない。
(c)は、第1パラグラフのnative Italyから、合致していると判断できる。
(d)は第5、第6パラグラフの内容から、正しいと判断できる。
(e)の「通訳」は、本文では最終パラグラフにのみ登場しているが、his interpreter(彼専用の通訳)という表現から、警察がスコッティーさん用に雇ったものと推理され、その推理の内容に合致している。
(f)は最後から2つ目のパラグラフにhe refused to believe itとある。
第5問 虹
A rainbow is one of the most beautiful scenes in nature, and man has long wondered what makes it happen. Even Aristotle, the great Greek philosopher, tried to explain the rainbow. He thought it was a reflection of the sun's rays by the rain, and he was wrong!
A rainbow is simply a great curved spectrum, or band of colors, caused by the breaking-up of light which has passed through raindrops. (1)The raindrops act as prisms.
Sunlight, or ordinary white light, is really a mixture of all the colors. You've probably seen what happens when light strikes the edge of a mirror, or a soap bubble. The white light is broken up into different colors. We see red, orange, yellow, green, blue, and violet.
An object that can break up light in this way is called "a ( 2 )." The colors that emerge form a band of stripes, each color grading into the one next to it. This band is called "a ( 3 )."
A rainbow is seen only during showers, when rain is falling and the sun is shining at the same time. You have to be in the middle, the sun behind you, the rain in front of you, or you can't see a rainbow! The sun shines over your shoulder into the raindrops, which break up the light into a spectrum, or band of colors. The sun, your eyes, and the center of the arc of the rainbow must all be in a straight line.
If the sun is too high in the sky, it's impossible to make such a straight line. That's why ranbows are seen only in the early morning or late afternoons. A morning rainbow means the sun is shining in the east, showers are falling in the west. An afternoon rainbow means the sun is shining in the west and rain is falling in the east.
Superstitious people used to believe that a rainbow was a sign of bad luck. They thought that souls went to heaven on the bridge of a rainbow, and when a rainbow appeared it meant someone was going to die!
問1 本文中の下線部(1)を和訳しなさい。
問2 本文中の空所(2)(3)に入れるのに最も適切なものをA〜Eからそれぞれlつ選びなさい。
A. sunlight B. prism C. band D. spectrum E. rainbow
問3 次の(1)〜(7)について、本文の内容と一致するものはT、一致しないものはFの記号で、それぞれ答えなさい。
(1) Aristotle had a scientifically incorrect idea about the rainbow.
(2) A rainbow is a giant arc of spectrum.
(3) You can see a rainbow whenever rain is falling.
(4) In order to see a rainbow, you must be in front of the rain.
(5) A rainbow can't be seen if the sun is very high.
(6) It is impossible to see a rainbow in the western sky in the early morning.
(7) There used to be a superstition that when a rainbow appears someone will die.
[語句と構文]
□scene 眺め
□nature 自然
□wonder what ... 何が...なのかと思う
□what makes O+(原形) どうしてOが〜するのか(間接疑問節)
□Greek ギリシャの(名詞Greeceの形容詞形)
□Aristotle アリストレス
□philosopher 哲学者 cf. philosophy 哲学
□a reflection of 〜 by … …によって〜が反射されたもの。
□ray 光線。
□simply 〜 〜にすぎない。=only。
□curved カーブした。
□spectrum スペクトル(光をプリズムなどに通したときにできる虹色の帯)
□band 帯
□cause 引き起こす
□breaking-up of light 分光、光が分かれること cf. break up 分かれる、分ける
□raindrop 雨滴
□act as 〜 〜の働きをする
□as 〜 〜として
□prism プリズム
□or 言いかえれば、すなわち
□ordinary ふつうの
□really 実は
□a mixture of 〜 〜が混じったもの
□strike 突き当たる
□edge 端
□soap bubble 石鹸の泡
□be broken up into 〜 分かれて〜になる
□object 物
□in this way このようにして
□emerge 現われる
□stripe しま
□each color grading... 付帯状況を表す分詞構文。each colorは分詞の意味上の主語。
□grade into 〜 (色などが)次第に〜に変化する
□the one next to it =the color next to the color(その色の隣の色)
□shower にわか雨
□..., when 〜l ...であり、そしてそのときには〜。whenは継続(非制限)用法の関係副詞で、ここではand thenに言いかえることができる。先行詞はshowers。
□at the same time 同時に
□in the middle まんなかに
□the sun behind you 太陽を背にして =with the sun behind you。付帯状況を表すwith 〜の句のwithがなくなった形。
□or そうでないと
□shine over A into B A越しにBに入っていくように輝く
□..., which 〜 ... であり、そしてそれは〜。whichは継続(非制限)用法の関係代名詞で、ここではand theyに言いかえることができる。先行詞はraindrops。
□arc 弧
□in a straight line 一直線状に
□it's impossible to 〜 〜するのは不可能である
□That's why 〜 そういうわけで〜
□superstitious 迷信深い
□used to 〜 以前はよく〜したものだった
□a sign of 〜 〜のしるし
□bad luck 不運、不幸
□soul 魂
□go to heaven 天国に昇っていく
□on the bridge of a rainbow 虹のかけ橋に乗って
□it= 虹が現われたこと
□meant =meanの過去形
[本文の主旨]
美しい虹がなぜ発生するのか、人間は古くから考えてきた。虹は光のスペクトルにすぎない。 太陽の光線はいろいろな色が混じりあったものである。白昼光線を分光するもののことをプリズムと言い、プリズムによって得られる帯のことをスペクトルと言う。 虹を見るには、条件がそろわなければならない。前方で雨が降っていて後方に日が出ている、その中間にいて、特に太陽と人の目と虹が一直線に並んでないと見られない。 この条件のために、虹は午前中早いときか午後遅くにしか見られない。虹は不幸があるしるしという迷信がかつてはあった。
[全文訳]
虹は自然界において最も美しい眺めのうちのひとつです。人間は長く、どのようにして虹が発生するのか不思議に思ってきました。ギリシャの偉大な哲学者アリストテレスでさえ、虹を解明しようとしました。虹は雨によって太陽光線が反射させられたものと彼は考えましたが、それは間違いでした。
虹は大きく弧を描いたスペクトルにすぎません。つまり、色の帯です。それは雨滴を通過した光が分かれることによって引き起こされます。雨滴がプリズムの作用をするのです。
太陽光線、言いかえればふつうの白い光は、実のところ、すべての色が混じりあったものです。光が鏡の縁や石鹸の泡にぶつかるとき、どのようなことが起こるか、おそらく見たことがあるのではないでしょうか。白い光線がいろいろな色に分かれます。赤、橙、黄色、緑、青、紫が見えます。
こんな具合に光を分けることができる物のことを「プリズム」と呼びます。現われる色は、縞模様の帯を作りますが、これはそのおのおのの色が隣あった色へと次第に移っていくような帯です。この帯は「スペクトル」と呼ばれています。
虹はにわか雨のときにしか見られません。しかも、雨が降っていると同時に、日も輝いていなければなりません。また、虹を見るためには太陽を背にし、雨を前にして、その中間の位置にいなければならず、そうでないかぎり、虹を見ることはできないのです。太陽光線はあなたの肩越しに雨滴の中へと入っていき、その雨滴が光をスペクトルに、つまり、虹の帯に、変えます。太陽、人の目、虹の弧の中心は、すべて一直線に並んでいなければなりません。
太陽が空高くにあるときには、そのような直線はできません。ですから、虹は午前早くか午後遅くにしか見られないのです。午前中の虹は日が東にあって、にわか雨が西で降っていることを意味します。午後の虹は、太陽が西で雨が東ということです。
かつて迷信深い人たちは虹は不幸のしるしだと思っていた。そういった人々は、魂は虹のかけ橋を昇って天国に行く、虹が現われると誰かが死ぬ、というように考えていました。
[解答と解説]
解答
問1 雨滴が[は]プリズムの働きをする。
問2 (1) B (2) D
問3 (1) T (2) T (3) F (4) T (5) T (6) F (7) T
解説
問1 actはこのとき動詞。「行動する・ふるまう・働きをする・演じる」という意味のうち、「働きをする」が最もふさわしい。
問2 (2) 第2パラグラフの最後にprismsが登場し、続くでprismsの説明があり、問題になっている文でa prismの定義がなされている、という流れをつかみとれば、prismなる単語が未知のもだったとしても解ける。
(3) 第2パラグラフ第1文にspectrum, or band of colorsとある。このorは「言いかえれば」という意味だから、spectrumの説明がここでなされていたことになる。(2)同様、語彙問題ではなく、読解問題。
問3 Tはtrueのt、Fはfalseのf。(1) Aristotle had a scientifically incorrect idea about the rainbow.「アリストテレスは虹について科学的に間違った考えをしていた」。第1パラグラフ最後にhe was wrongとある。incorrect「正しくない」(correctの反意語)。
本文のa reflection of the sun's rays by the rainは、名詞化形と呼ばれる形。名詞化形は、文あるいは動詞的表現が名詞的な語句に形を変えたものと見なすことができる。The rain reflects the sun's rays.のreflect the sun's rays(太陽光線を反射する)を名詞化形にすると、the reflection of the sun's rays(太陽光線を反射すること・太陽光線の反射・太陽光線が反射されたもの)という形になる。これに受け身でおなじみのby the rain(雨による)をつけると、本文中に見られる名詞化形ができあがる。
(2) A rainbow is a giant arc of spectrum.「虹は巨大な弧のスペクトルだ」。第2パラグラフにa great curved spectrum(大きくカーブしたスペクトル)とある。
(3) You can see a rainbow whenever rain is falling.「虹は雨が降っているときにはいつでも見られる」。whenever 〜「〜のときにはいつでも」。
(4) In order to see a rainbow, you must be in front of the rain and looking toward it.「虹を見るためには雨の真ん前にいて雨のほうを向いていなければならない」。第5パラグラフにthe rain in front of youという条件が書いてある。with the rain in front of you(雨を真正面にして)ということだが、(4)の文はこの内容に合っている。in order to 〜「〜するために(は)」。
(5) A rainbow can't be seen if the sun is very high.「太陽が非常に高いと虹は見ることができない」。第6パラグラフの最初に対応。it is impossible to make such a straight line.は「そのような直線(=虹を見るための条件)を作ることは不可能だ」。
(6) It is impossible to see a rainbow in the western sky in the early morning.「午前中早くには西の空に虹を見るのは不可能だ」。第6パラグラフの第3文の内容に反している。
(7) There used to be a superstition that when a rainbow appears someone will die.「虹が現われると誰かが死ぬという迷信がかつてあった」。第7パラグラフの内容に合っている。there used to beはthere beのbeにused toがついたもの。a superstition that 〜「〜という迷信」。このthatは「という」の意味で、抽象的な名詞の具体的な内容を導く働きをする。
コラム トピック・センテンス
トピック・センテンスとは、その文章全体の話題や個々の段落の話題を、はっきりと提示する働きをする文のこと。個々の段落には、必ずしもトピック・センテンスがあるとはかぎらないが、かなりの場合にある。
英語の文章は、トピック・センテンスを文章の最初や段落の最初に置いて、これからこのような話題で話を進めますという合図にすることが多い。たとえばこの文章では、第1段落から第4段落までが「虹はどのようにして起こるのか」の説明になっているが、その話題で話が進みますよという合図を、第1パラグラフの第1文がしている。また、第3パラグラフでは、やはり第1文が、この段落の範囲内でのトピック・センテンスになっている。
第6問 アインシュタイン博士の言葉
It was a strange sight: a man, standing before a fountain, watching the falling water and tilting his head from side to side. Drawing closer, I saw he was rapidly moving the fingers of his right hand up and down in front of his face.
I was eleven, visiting Princeton University with my science class, and the man at the fountain was Albert Einstein.
For several minutes, he continued silently flicking his fingers. Then he turned and asked, "Can you do it? Can you see the individual drops?"
Copying him, I spread my fingers and moved them up and down before my eyes. Suddenly the fountain's stream seemed to freeze into individual droplets. For some time, the two of us stood there perfecting (1)our strobe technique. Then, as the professor turned to leave, he looked me in the eye and said, "Never forget that science is just that kind of exploring and fun."
Nearly half a century later, I've spent an entire career trying to impart Einstein's words to adults and children all over the world: science is exploring, and exploring is fun.
Sadly, far too few schools make the subject appealing. (2)Science courses introduce more new vocabulary than foreign-language classes do. Textbooks are as dull as dictionaries. As a result too many children think that science is only for people as smart as Einstein.
The irony is that children start out as natural scientists, instinctively eager to investigate the world around them. (3)Helping them enjoy science can be easy—there's no need for a lot of scientific terms or expensive laboratory equipment. You only have to share our children's curiosity.
問1 下線部(1)の「ストロボスコープの技術」の具体的な内容を、50字以内(句読点を含む)の日本語で述べなさい。
問2 下線部(2)、(3)を和訳しなさい。
[語句と構文]
□it その場の状況を漠然と指すit。
□sight 光景
□a man, standing..., watching... and tilting... 光景を文の形でなく、切れ切れの言葉で描写したもの。〜ingはいずれも分詞。文の形で示せば、I saw a man standing ...となろう。
□fountain 噴水
□falling water 落ちてくる水
□tilt 傾ける
□from side to side 左右に
□draw close 近くに寄る
□rapidly 速く
□up and down 上下に
□visiting 分詞構文。= and I was visiting。
□Princeton University プリンストン大学
□science class 理科のクラスの人たち
□Albert Einstein アルバート・アインシュタイン(1879-1955)
□continue 続ける
□silently 黙って
□flick すばやく動かす
□turn 振り向く
□individual 個々の
□drop 水滴
□copying him 彼のまねをして(分詞構文)
□spread 広げる
□stream 流れ
□seem to 〜 〜するように思える
□freeze into 〜 凍りついて〜になる
□droplet 水滴
□for some time しばらくの間
□the two of us 私たち2人
□perfect 完全なものにする、完成させる
□strobe =stroboscope ストロボスコープ
急速に動く物体を静止状態でとらえて観察する装置
□technique 技術
□professor 教授
□look (人) in the 〜 (人)の〜の中を見る
□explore 探検調査する、探究する
□half a century 半世紀
□spend (時間) 〜ing 〜して(時間)過す
□an entire career 全生涯
□impart 知らせる
□sadly 悲しいことに
□far too few 〜 〜があまりにも少なすぎるfarはtooを強める。
□subject 科目
□appealing 魅力ある
□course 教科、科目
□introduce 導入する
□vocabulary 用語、語彙
□as a result その結果
□smart 頭のよい
□the irony is that 〜 皮肉なことに〜である
□start out 出発する
□natural 生まれつきの
□instinctively 本能的に
□eager to 〜 〜することを切望して
□investigate 調査する、研究する
□help O+(原形) Oが〜するのを助ける
□there's no need for 〜 〜の必要はない
□scientific terms 科学用語
□laboratory 実験室
□equipment 設備
□only have to 〜 〜しさえすればよい
□share 分かちあう
□curiosity 好奇心
[本文の主旨]
手を顔の前で振り、首を傾げながら噴水の水を見る不思議な男を私は見つけた。私は級友たちとともに、プリンストン大学を訪問していた。男はアインシュタイン博士だった。 アインシュタインは噴水の水の水滴を見ていたのだ。私もまねしたら、すごいことが起こった。アインシュタイ ンは科学はおもしろいものなのだと私に告げた。私は生涯アインシュタインの言葉を人々に告げてきた。学校で教わる科学は子供たちにとって魅力的でない。子供は生れながらの科学者である。子供の好奇心を大切にしよう。
[全文訳]
それは不思議な光景だった。男が一人、噴水の前に立っていて、首を左右に傾げながら、落ちてくる水を見ているのだった。もっと近寄ってみると、その男は自分の顔の前で右手の指をすばやく上下に動かしていた。
私は11歳で、理科のクラスの級友たちといっしょにプリンストン大学を訪問していた。噴水の所にいたその男は、アルバート・アインシュタインだった。
数分間彼は黙って指をすばやく動かし続けていた。それから彼は振り向いて尋ねた。「きみもできるかな? 水滴を一つずつ見ることができるかな?」
彼のまねをして、私も指を広げて目の前で上下に動かしてみた。すると突然、噴水の水の流れが凍りつき、一つ一つの水滴になったように見えた。私たち2人はそこにしばらく立ったまま、ストロボスコープの技術を完全なものにしようした。それから教授が立ち去ろうとして向きなおりながら、教授は私の目をのぞきこむようにして、こう言った。「忘れないようにね。科学というものは、ちょうどこんなふうな探究なんだ。おもしろいものなんだよ」。
それからほぼ半世紀たった今、振り返り見ると私は、世界中の大人たちや子供たちに、科学とは探究であり、探究するのはおもしろいものだというアインシュタインの言葉を伝えようとして全生涯を費やしてきたのだった。
悲しいことに、科学の授業を魅力あるものにしている学校はあまりにも少なすぎる。科学の授業は外国語の授業よりももっと多くの新しい語彙を導入している。教科書は辞書のように退屈だ。その結果、あまりにも多くの子供たちが、科学とはアインシュタインのような頭のいい人たちだけのものであると考えてしまうのだ。
皮肉なことに、子供たちは生まれつき科学者としてスタートを切る。本能的に自分の周りの世界をしきりに調べたがるのだ。子供たちが科学を楽しむように手助けするのは簡単なことになりえる。たくさんの科学用語も高価な実験装置も必要ない。子供たちの好奇心をあなたがたが分かちあうだけでよいのである。
解答と解説
解答
問1 広げた手の指を目の前で上下に動かして首を左右に傾げ、噴水の落ちてくる水の水滴の一つ一つを見る技術。(49字)
問2 (2) 科学の授業は外国語の授業よりももっと多くの新しい語彙を導入している。
(3) 子供たちが科学を楽しむように手助けすることは簡単なことだ。たくさんの科学用語も高価な実験装置も必要ない。
解説
この文章は回想記・逸話のなかまに入る。相対性原理を提唱し、ノーベル物理学賞を受賞した偉大な科学者アインシュタイン博士についての回想記や逸話は、入試の長文問題の材料としてよく用いられる。
問1 下線部(1)our strobe technique(私たちのストロボスコープの技術)とは、アインシュタインが噴水の前でデモンストレーションしていたのを、この文章の筆者がまねし、そのことに対して筆者が命名したもの。したがって、この場合の「そのこと」の内容を制限字数以内にまとめて示せばよい。
最も頼りになるのは、第1パラグラフの内容。そこにあるstandingやwatchingやtiltingは、語句と構文の欄にも記したが、分詞である。ただし、分詞構文と呼べるほど構文としてしっかりしたものになってはいない。I saw a man standing...(男が立って...なのを見た)や、A man was standing...(男が立って...していた)というような内容を、目に見えた通りに、その順に、切れ切れに描写した形になっている。tiltingは、「振る」といえるほど、ある程度の激しさのある動きを言っているわけではない。元来tiltは「傾ける」という意味だから、from side to side(左右に)とあるけれども、おそらく比較的ゆっくりした振り方だったろうと思われる。
それから、第2文にあるthe fingers of his right hand(右手の指)は、訳せば「右手の指」だが、この形では、つまり、theがついて複数形になっていてofの前にきているこの形では、指5本全部のことになることにも注意しよう。1本や2本ではない。このあたりの意味を、解答では「広げた手の指」という言いかたで示した。なお、このことは、語句の形を見ただけで言えること。たとえば、the teachers at this schoolというと、先生方全員を意味するのといっしょ。
またなお、よけいなことかもしれないが、手が右であることは解答の必要条件ではない。これはアインシュタインさんがたぶん右利きだったからにすぎない。しかし、この動きはやってみればわかるが難しい。ぶきようだとできない。
問2 (2) science coursesはほぼ前文のthe subjectの言いかえになっている。「理科の科目」や「科学の講座」などと訳してよい。introduceは「導入する」、または「紹介する」でもよい。moreはmuchの比較級。vocabularyは数えられない名詞だから、manyでなくmuch。vocabularyはふつう「語彙」と訳されて、ここでもその訳でよいが、「用語」としてもよい。文末のdoは代動詞。代動詞というものは、単に動詞の代りをするばかりでなく、VOやVC、VOOやVOCの代わりもする。ここではintroduce new vocabularyというVOの代わりをしている。
(3) ダッシュ以前はhelping them enjoy scienceという動名詞の句が主語になっている。この句の中に、help+O+(動詞の原形)という構文が入っている。can be easyのcanは「可能」の意味で、easyの状態になることは可能だ、の意。
ここのダッシュは、可能な状態と現状とを、対比的に並べる働きをしている。ダッシュがどのような働きをしているのか考えることは大切だが、
たいていの場合ダッシュは特に訳出する必要がない。「。」で区切って2文にしてよい。
there's no need for 〜(〜を求める必要はない)のforは「〜を求めて」の意味。ただし、「〜の必要」とするだけで、ここでは十分。「〜する必要はない」をthere's no need to 〜のように不定詞を用いて言うことも覚えておこう。
コラム 分詞構文
この文章の筆者は分詞構文が好きらしく、頻繁に出てきている。特に「付帯状況」を表す分詞構文が多用されている。たとえば、I was eleven, visiting ....やCopying him, I spread...や、the two of us stood there perfecting ...などが付帯状況の例。 付帯状況とは、主な状況に付帯している状況という意味。I was eleven, visiting ....では, I was elevenが主な状況で、visiting ...(=and I was visiting ...)が付帯状況。 Copying him, I spread...では、Copying him(=I copied him and)が付帯状況で、I spread ...が主な状況である。
第7問 食べるダイエット
When I was a college student, I was very fat and often teased about my weight. One Friday night, for example, several girls who lived in the same dormitory called a local pizza shop. They ordered seventeen pizzas—all to be delivered in my name. About 30 minutes later, one of them called me and said, "There' s a guy at the front door to see you." I rushed downstairs. I could hear them giggling from behind the stairs. When I opened the door, there was a delivery boy with seventeen pizzas stacked in his arms. I paid him with the money I'd been saving for a new dress.
During the next four years I tried eight different diets. And I failed at all of them. But during my second year in medical school, I was invited to take part in a unique new weight-loss program called the Columbus Program. This wasn't a "diet." It was entirely different. It had been developed by a team of medical specialists who treat the severely fat.
I began the program on February 4th. For the first two days nothing happened. But on the third day my weight began dropping. Rapidly. Within the next 24 weeks I lost 57 pounds. And during the next four weeks I lost an additional 13 pounds. This may not seem like a lot. But this was the first time in my life I had consistently lost weight. And kept it off.
The program worked for one simple reason. I was allowed to eat. I could eat six times every day. I could have 3 regular meals. Plus a morning snack. An afternoon snack. Even a snack at night. There was so much food on the program, I could hardly eat it all.
How can you eat so much food and still lose weight? The secret is not the amount of food you eat. It's the combination of foods you eat in each 24-hour cycle.
And it's all good healthy food. No strange foods. You'll enjoy a variety of meats, chicken, fish, vegetables, potatoes, pasta, sauces—plus your favorite snacks. Once you lose the weight, you'll keep it off. Permanently! Because this program lets you continue your normal eating lifestyle. You can have a snack in the afternoon, before dinner, and even at night while you're watching TV.
問1 Who did the delivery boy think ordered seventeen pizzas?
問2 How many diets did the writer try before the Columbus Program?
問3 In total, how long did it take the writer to lose 70 pounds?
問4 How often does the Columbus Program allow you to eat each day?
問5 What is the secret of the Columbus Program?
[語句と構文]
□and often teased =and I was often teased
□weight 体重
□for example たとえば
□dormitory 寮
□call 電話する
□local 地元の
□order 注文する
□deliver 配達する
□to be 〜 〜されるように
□in 〜's name 〜の名前で
□guy 男
□There's a guy to see you. あなたに会いにきた男がいる
□rush 急いで行く
□giggle くすくす笑う
□hear O 〜ing Oが〜しているのを耳にする
□from behind 〜 〜のかげから
□stairs 階段
□with O+(過去分詞) Oを〜されて
□stack 積み重ねる
□diet ダイエット
□fail at 〜 〜に失敗する
□medical school 医学部
□be invited to 〜 〜するように誘われる
□take part in 〜 〜に参加する
□unique 独特の
□weight-loss program 減量プログラム
□entirely まったく
□be developed 開発される
□specialist 専門家
□treat 治療する
□the severely fat 極度に太った人たち
□rapidly 急速に
□pound ポンド1 pound=0.54356Kg。
□additional 追加の
□consistently 一貫して
□lose weight 体重を落す
□kept it off =kept the weight off(offは「離れて」の意でC)
□work (計画などが)うまくいく、(薬などが)効く
□for 〜 reason 〜の理由のために
□simple 単純な
□be allowed to 〜 〜することを許可される
□regular 通常の、規則正しい
□plus そしてその上(接続詞的な副詞)
□snack 軽食
□so 〜, ... たいへん〜なので...so 〜 that S can ...のthatが省略された形。
□on the program そのプログラムには
□can hardly 〜 ほとんど〜できない
□How can you 〜? どうしたら〜できるのか
□secret 秘密
□amount of 〜 〜の量
□combination 組み合わせ
□in 24-hour cycle 24時間の周期で
□healthy 健康に良い
□a variety of 〜 様々な種類の
□once 〜 いったん〜すると
□permanently 永久に
□let O+(原形) Oに〜させる
□continue 続ける
□normal 正常な
□lifestyle 生活様式
[本文の主旨]
大学生の頃太っていために、よくからかわれた。寮の友だちに17枚もピザを注文されて、貯金で代金を支払ったこともある。 その後いろいろなダイエットに失敗した後、あるユニークな減量プログラムに参加した。このプログラムで私は生れて初めて減量に成功した。 このプログラムが効いたのはどんどん食べてよいからだった。秘密は食べものの量にではなく組み合わせにある。 このダイエット・プログラムはほんとうに食べほうだいなのだ。
[全文訳]
私は大学生の頃、非常に太っていて、体重についてからかわれることがしばしばあった。たとえば、ある金曜日の夜、同じ寮に住む少女たちのうちの何人かが近くのピザ店に電話をした。彼女たちは17枚のピザを注文した—全部私の名前で配達するように。30分ほどたってから、彼女たちの1人が「玄関に男の人が会いに来ているわよ」と私に電話してきた。私は急いで下に降りていったが、そのとき彼女たちが階段のかげでくすくす笑っているのが聞こえた。ドアを開けると、配達の少年が17枚のピザを両腕にかかえて立っていた。私は新しい服を買うために貯めておいたお金で彼に支払いをした。
それから4年間、私は8種類のダイエットに挑戦した。そして、その全部に失敗した。しかし、医学部の2年のときに、コロンブス・プログラムと呼ばれる新しいユニークな減量プログラムに参加するように誘われた。これはいわゆる「ダイエット」ではなかった。まったく違うものだった。極度に太った人たちの治療にあたっている医学の専門家チームによって開発されたものだった。
私は2月4日から、そのプログラムを開始した。最初の2日間は何も起こらなかった。しかし、3日目に体重が減り始めた。それも急激に。それから24週間で、私は約30Kg減量した。そしてさらに4週間で、7Kgほど体重を落とした。これは多いようには思われないかもしれない。しかし、継続的に体重が減ったのは、私には生まれて初めてのことだった。おまけに、体重は減ったままだった。
このプログラムに効き目があった理由は、1つだけで、単純なものだった。食べることが許されていたからだ。毎日6回も食べられた。通常の3回の食事はもちろんのこと、午前中の軽食、午後の軽食、それに夜にも軽食があった。このプログラムには食べ物がとてもたくさん出てきたので、全部食べることはほとんどできなかった。
こんなに食べて、どうして体重を減らすことが可能なのか? その秘密は、食べるものの量にあるのではなく、1日に食べる食物の組み合わせにあるのだ。
しかもその食べものは全部おいしくて健康によいもので、風変わりなものはなかった。いろいろな肉、チキン、魚、野菜、じゃがいも、パスタ、ソース、おまけに大好きなスナックも楽しむことができる。いったん体重が減れば、元に戻ることがない。それも永久に! というのも、このプログラムではふつうの食事のスタイルを続けることができるからだ。午後に夕食前に、そして夜テレビを見ながら、スナックを食べることができる。
[解答と解説]
解答
問1 He thought the writer did.[He thought the writer ordered them.]
問2 She tried eight diets.
問3 It took her twenty eight weeks to lose 70 pounds.
問4 It allows you to eat six times each day.
問5 It is the combination of foods you eat in each 24-hour cycle.
解説
このような問題では、いわゆるケアレスミスをしないことが重要。スペルミス・時制・3人称単数現在のs、複数形のsなどに細かく気をくばり、書いた後見なおすようにしよう。
答えの文では、質問の文の中に登場する名詞や名詞句を受けて、代名詞に変えなければならない点にも注意。たとえば問4で、The Columbus Program ...のように答えた場合には、確実に減点されることになってしまう。
問いの指示にあるcomplete sentenceとは、たとえばAt Tokyo.やThree.というようなshort answerではなく、SやVやOやC(文型の要素)がそろった文のことを言う。副詞や副詞句は必要でない。
問1 Who did the delivery boy think ordered seventeen pizzas?「配達の少年は誰が17枚のピザを注文したと思ったのか」。第1パラグラフの最後に、筆者が貯金をはたいて払ったとある。I'd been savingはI had been savingの短縮形。「継続」の意味の過去完了進行形。
なお、この問いの文は、The delivery boy thought X ordered seventeen pizzas.という文のXをwhoに変えて文頭に出し、疑問文の語順に変えるとできる文である。 解答の文にあるdidは代動詞。この問に対する答えにHe thoughtは不可欠だが、仮にWho ordered seventeen pizzas?という質問だったら、Several girls who lived in the same dormitory did.と答えた場合、complete sentenceの指示に合わなくなる。
問2 How many diets did the writer try before the Columbus Program?「筆者はコロンブス・プログラムの前にいくつのダイエットを試したのか」。第2パラグラフの最初に、8つの異なったダイエットを試して、その全部に失敗し、それからコロンブス・プログラムに出会ったとあるから8つ。答えの文にbefore the Columbus Programをつける必要はない。
問3 In total, how long did it take the writer to lose 70 pounds?「筆者が70ポンド減量するのに合計でどれくらいかかったか」。第3パラグラフに、24週間で57ポンド、4週間で13ポンドとあるので、28週。答えの文にin totalという副詞句は不要。to lose 70 poundsもいらない。なぜなら、問答であるかぎり、質問者と回答者のあいだで了解済みのことだから。了解済みかどうかでいえば、It took herの部分も了解済みのはずだから、答えはTwenty eight weeks.のみでよいではないかと思うかもしれないが、そのようにするとcomplete sentenceという指示から、はずれることになる。 it take (人) (時間) to 〜「(人)が〜するのに(時間)かかる」。in total「合計で」。
問4 How often does the Columbus Program allow you to eat each day?「コロンブス・プログラムでは毎日何回食べてよいのか」。第4パラグラフにI could eat six times every day.とある。筆者のみ6回だったのか、誰でも6回なのかは、ここからは判断できないが、この質問に答えるための情報はここにしかないから、このところを答えればよい。how often=how many times。
問5 What is the secret of the Columbus Program?「コロンブス・プログラムの秘密は何なのか」。第5パラグラフにIt's(=The secret is) the combination of foods ...とある。これをそのまま答えればよい。
コラム 口語調の省略表現
会話文や口語調の文章には、よく省略表現が出てくる。省略は、そうできるからそうするのだが、省略できるための根拠というものがある。それは「相手(文章なら読者)とのあいだに了解が成り立っている」ことを根拠にする。
たとえば、第3パラグラフにRapidly.という1語から成る文があったが、これはその前にmy weight began droppingということが言われているから、読者のほうで減り方がrapidlyだったのだなと了解できる。この、とれるはずだと思われる了解にのっとって、筆者はこの種の省略文を使う。
同じ段落内のAnd kept it off.も同じだ。And (this was the first time in my life I had) kept it(=weight) off.のように省略が行われている。ふつうでない短い文があったら、省略表現ではないかと疑るようにしよう。
第8問 会話のキャッチボール
Conversation is a (1)turn-taking process. It may be compared to playing catch—throwing a ball back and forth gently between two players. This is unlike a real baseball game, in which the pitcher throws the ball hard, hoping that the batter will be unable to hit it. In playing catch, however, you have to ensure that your partner can catch the ball; (2)otherwise, how can he or she throw it back to you? In this sense, your initial throw is of special significance.
What is this initial "throw" in conversation? It is a kind of "commonality" between any two persons engaged in a conversation or in a dialogue. The more common the topic, the easier they will find it to continue talking. ( 3 ) something in common to talk about, (4)that much easier it is to converse.
Thus, an American, when talking with a stranger, is apt to talk about the weather to initiate the conversation. Someone might say: "It's nice today, isn't it?", "It's nasty out, isn't it?", and so on. These are starting expressions to which the other might respond, but little content is offered. (注}commonality 共通性
問1 下線部(1)の意味に最も近いものをA〜Eの中から1つ選んで,その記号を答えよ。
A. てきぱきと話題を変える
B. 先を争って話を進める
C. 回り道から始める
D. 交互に話を受け持つ
E. 相手の立場を尊重する
問2 下線部(2)の意味に最も近いものをA〜Eの中から1つ選んで,その記号を答えよ。
A. if not B. in the same way C. and yet
D. on the other hand E. so that
問3 空所(3)を満たすのに最も適当なものをA〜Eの中から1つ選んで,その記号を答えよ。
A. About B. Of C. With D. Above E. Beneath
問4 下線部(4)の用法とほぼ同じ用法のthatを含むものをA〜Eの中から一つ選んで,その記号を答えよ。
A. It's not really quite that interesting, you know.
B. This camera is far better than that one.
C. When are you going to pay me back that ten thousand yen?
D. Well, how is that bad leg of yours getting on?
E. I wonder why he has acted that way throughout his life.
問5 本文に表題をつけるとすれば何がよいか。最も適当なものをA〜Eの中から一つ選んで、その記号を答えよ。
A. To change the Subject
B. How to Play Catch
C. Selecting the Topic
D. How to Talk about the Weather
E. Starting a Conversation
[語句と構文]
□turn-taking 交互でする
□process (手順にしたがって進行する)過程、手順(proceed(進む)の名詞形)
□be compared to 〜 〜にたとえられる
□play catch キャッチボールをする
□back and forth 行ったり来たりして、往復して(「前後に」という意味のこともある)
□unlike 〜 〜に似ていない
□be unable to 〜 〜することができない
□in 〜ing 〜するときには(=when S〜)
□ensure that 〜 〜であることを保証する
□otherwise そうでなければ
□in this sense この意味で
□initial 初めの
□of special significance 特に重要な(of+(抽象名詞)は形容詞にあたる意味を持つ)
□a kind of 〜 いわば〜、〜のようなもの
□commonality 共通点(があること)
□be engaged in 〜 〜に従事している
□dialogue 対話、会話
□the+<比較級>…, the+<比較級>〜 …であればあるほど、ますます〜
□topic 話題
□continue 〜ing 〜し続ける
□have O in common Oを共通に持つ
□converse 会話する
□thus だから、したがって」thusは「このように、そのように」や「たとえば(の意味になることもある)
□be apt to 〜 〜しがちである
□initiate 始める、着手する
□might かもしれない
□nasty 荒れ模様で
□out 外で(は)(=outside)
□… and so on …など
□expression 言い回し、表現
□respond to 〜 〜に応じる
□content (表現によって表される)意味内容(⇔expression)
[本文の主旨]
会話はキャッチボールにたとえられる。会話もキャッチボールも、続けるためには最初が重要。 会話でキャッチボールの第1球にあたるものは、互いの共通点である。共通の話題があれば楽に会話が進む。 アメリカ人が見知らぬ人に天気のことを言ったりするのは、会話をしたがっている証拠なのである。
[全文訳]
会話は順番が交互にめぐって進んでいくものである。会話は2人のあいだでボールをゆっくりやりとりするキャッチボールにたとえられる。これはほんものの野球の試合とは違う。ほんものの野球の試合では、ピッチャーはバッターに打たれないようにと思ってボールをきつく投げる。しかし、キャッチボールをするときには、相手がボールを取れるように投げなければならない。そうでなければ、相手はボールを投げかえすことができない。この意味において、第1球が特に重要である。
会話での、この第1球とはなんだろうか? その第1球とは、いわば、会話や対話をする2人の人の「共通点」である。話題が共通であればあるほど、ますます楽に話を続けることができるようになる。話し合うのに何か共通のことがあれば、その分会話するのが容易になる。
こういうわけでアメリカ人は見知らぬ人と話をするときには、会話の皮切りとしてよく天気のことを話題にする。「今日はいい天気ですね」とか「外は嵐でしょうかね」とか「」、誰かが言ってくるかもしれない。こういった言葉は相手が応じてくるかもしれない会話の切り出しの文句であり、深い意味を含んではいないのである。
[解答と解説]
解答
問1 D 問2 A 問3 C 問4 A 問5 E
解説
問1 最初の文で、会話はa turn-taking processだとされ、続く第2文で、それがキャッチボールにたとえられている。キャッチボールはボールを交互にやりとりするものであるし、そのようなものであると同じ文中で説明されている。その点から解答が決まる。ちなみにturn-takingは、品詞は形容詞で、「(あることを)交互でする」という意味のtake turns(turn=「順番」)から派生したもの。
take turns <動詞>+<目的語>(VO)
turn-taking <元の目的語>+<動詞のing形>
上のような形容詞に変わると、turnsのsがなくなることに注意。年齢を表す〜 years oldが派生形容詞に変わると、〜-year-oldのようにsがなくなるのと同じ。e.g. He is 2 years old. → He is a two-year-old boy.
問2 otherwiseはhoweverに似ている。<…. 〜, however, 〜>とあれば、「…だ。しかしながら、〜〜」というように、前の内容を受けて後ろにつなげる働きがhoweverにはある。otherwiseも、これに似た働きをすることがある。<…; otherwise, 〜>となっていたら、前後のつながりに注意する。
この文章でotherwiseの前にあるのは、「キャチボールでは相手が取れるように投げるべきだ」。後ろにあるのは、「どうして投げかえせようか」。otherwiseはこの中間にあって、「そうでなければ」の意味を担っている。選択肢の語句は,次に示すとおりの意味:
A. if not 「そうでなければ」
B. in the same way 「同じやりかたで、同様に」
C. and yet 「しかし」(= but)
D. on the other hand 「他方で(は)、これに対して」
E. so that 「〜するために、それで」したがって、答えはA。<…; otherwise[if not], 〜>=「…だ。そうでなければ〜だ」を覚えておこう。if notはこのように省略形で用いるが、省略を補えばif (your partner can) not (catch the ball)ということ。
なお、how can S 〜?の疑問文は、「どうしたらSは〜できようか」と問いかけて、「どうやってもできっこない」という気持ちを読者に抱かせる作文上の技巧。「反語」の疑問文と呼ばれる。
問3・問4 単語や構文が似ていることから、空所( 3 )を含む文がその直前の文の言い換えになっていることをまずつかもう。直前のThe more …の文は、the+<比較級>…, the+<比較級>〜の構文で、「…であればあるほど、(その分)ますます〜」という意味を表す。このとき2つめのtheが「その分」という意味を持っている。
問4で問われているthat muchは「その分」の意味を担っている。thatが「その」にあたり、muchが「分」にあたる。このthatの特徴は、名詞的でない語にかかっていること。問4の選択肢の文を眺めてみると、BからEのthatはみな名詞的な語にかかっている。Aのみが名詞的でない語にかかっている。したがって答えはA。各選択肢の文の意味は次のとおり: A. あのね、それってほんとはそれほどおもしろくはないんですよ。
B. このカメラはあのカメラよりはるかによい。
C. あの1万円、いつ返すつもりなの?
D. ところで、きみの例の具合の悪い足はどう?
E. なんで彼は生涯あんなふうに振る舞ったのだろうか。
問3に戻ると、問われている文の前半は、The more common the topic(話題が共通であればあるほど)の言い換えであることと、選択肢が前置詞であることから、「話し合うことが共通にあれば」の「あれば」の意味にあたるものがふさわしいと考えられる。したがってwithout(〜がなければ)の反対の、withがよい。このthe+<比較級>…, the+<比較級>〜の構文では、The sooner, the better.(早ければ早いほどよい)のように、動詞がなくなることがある。その現象が前半に起こっており、The more common the topic (is)のようにisがなくなっていることにも注意しておこう。
問5 第2パラグラフの先頭の文がトピックセンテンスで、文章全体の話題を示している。会話を成立させ、会話を続くようにさせる会話での第1球が、その話題である。したがってEが最もよい。
コラム 英文を読み解くカギとしての接続詞(1)
英文を読むときには、接続詞に注意するとよい。特に「対比」や「逆接」の接続詞や、接続詞的な副詞には注意しよう。howeverは副詞だが、前に言ったことと逆のことを導く、接続詞的な働きを持っている。問2で問われているotherwiseも、接続詞的な副詞。otherwiseは、直前の内容を受けて、「そうでなければ....」というように後につなげていく働きをする。
第9問 蚊
(a)No matter who you are or where you come from, one thing is certain: you are acquainted with the mosquito—although you probably wish you (b)weren't. Mosquitoes are everywhere. They can be found all over the world, and they come in more than 2,500 species. Somewhere, at some time, you have surely met at least (C)one.
No one loves the mosquito. But unfortunately the mosquito may decide that she loves you. She? Yes, she. Did you know that only the female mosquito bites? Well, it's true. And it's not because she's unfriendly; she needs blood to reproduce.
Do you know how the female mosquito decides whom to bite? She's quite selective, and she chooses her victims carefully. First, she uses sensors to find her victim. These sensors are located on her two antennae and her three pairs of legs. With these sensors, she tests your body moisture, body warmth, and chemical substances in your sweat. If she likes what she finds, she bites. But if you don't appeal to her, she'll reject you for someone more appetizing. (d)The next time a mosquito bites you, just remember that you were chosen. You're special.
If the mosquito likes you, she lands onto your flesh very gently, and she breaks your skin with her proboscis tip. Proboscis tip? What's that? It's a kind of mouth and it sticks out just below the mosquito's eyes. It contains six sharp instruments called stylets. She stabs all six stylets into your skin at once, and if she hits a blood vessel, she'll get a full dinner in about a minute. (e)All this usually takes place so quickly and quietly that you may not have suspected anything happening.
注) stylet(s) (昆虫などの)針
(1) 下線部 (b) の後に省略されそいる英語(4語)を文中から選んで書きなさい。
(2) 下線部 (c) の one は何を指していますか。本文中の英語で答えなさい。
(3) 雌の蚊は刺す人間をどのようにして選ぶのですか。日本語で簡潔に述べなさい。
(4) proboscis tip とはどのようなものですか。またどこにあるのですか。 日本語で簡潔に述べなさい。
(5) 下線部 (a),(d),(e) を和訳しなさい。
[語句と構文]
□No matter +(間接疑問節) たとえ〜でも
□be acquainted with 〜 (人)と知りあいである、交際している
□mosquito 蚊
□although 〜 〜であるが
□you weren't = you weren't acquainted with ...(weren'tは仮定法過去)
□S be everywhere Sはどこにでもいる
□come in 〜 species 〜の種類が出回っている cf. This coat comes in all sizes.(この上着はあらゆるサイズがそろっています)
□at some time いつか
□unfortunately 不幸にも
□decide that 〜 〜であると(強く)思う、決め込む
□Did you know that 〜? 〜ということ(がほんとうだということ)を知っていましたか(that節の内容がほんとうだという前提を話し手は持っている)
□female 雌の
□it's not because 〜 それは〜のためではない(it's because 〜の否定形)
□unfriendly 友好的でない
□reproduce 生殖する
□decide whom to 〜 誰を〜するべきか決める
□selective 選択的で
□victim 儀牲者
□sensor 感知装置、センサー
□be located on(in) 〜 〜にある
□antennae アンテナ(antennaの複数形。発音注意)
□moisture 湿りぐあい、湿度
□warmth 暖かさ
□chemical substance 化学物質
□sweat 汗
□appeal to 〜 〜の気にいる
□reject 拒絶する
□appetizing 食欲をそそる
□the next time 〜 今度〜のときには
□land 着地する
□onto 〜の上へ
□flesh 肌
□gently そっと、穏やかに
□skin 皮膚
□proboscis (昆虫などの)吻(ふん)
□tip 先、先端
□stick out 突き出す
□contain 含む
□instrument 器具
□stab 突き刺す
□at once 一度に
□blood vessel 血管
□take place 起こる
□suspect うすうす感じる、気づく
[段落の主旨]
蚊はどこにでもいるから、蚊を知らない人はいないだろう。刺す蚊は雌だけだが、それは生殖のために血が必要だからだ。蚊はセンサーを用いて刺す対象を念入りに選択する。蚊の刺しかたは人が気づかないほどとてもひそやかである。
[全文訳]
あなたが誰であれ、また、どこの国の人であれ、確かなことが1つあります。蚊と知り合いだということです。まあ、そんなのはたぶん願いさげでしょうが。蚊はどこにでもいます。世界中にいて、2千500種類以上が出まわっています。あなたもいつか、どこかで、少くとも1匹の蚊には出あっているはずです。
蚊が大好きという人はいません。でも、運悪く、彼女のほうであなたが大好きだと決めるかもしれないのです。彼女? そうです、女性です。人を刺すのは雌の蚊だけだということを、あなたは知っていましたか。実は、それは本当なのです。そして、それは、彼女が敵対的だからではありません。子を産むために血が必要だからです。
雌の蚊が誰を刺すかを決める方法をあなたは知っていますか。彼女はとても好き嫌いが激しく、儀牲者を念入りに選択します。まず彼女は獲物を見つけるために、センサーを使います。このセンサーは、2本の触角と3対の脚にあります。このセンサーを用いて、彼女はあなたの体の湿りぐあいや体温や汗の中の化学物質を検査します。見つけたものが気に入れば、かみつきます。でも、気に入らなければあなたをはねつけて、もっと食欲がそそられる別の餌食を探すのです。今度蚊に刺されたら、自分は選ばれた者なのだということを思い出すようにしてください。あなたは特別なのです。
蚊はあなたが気に入れば、肌にそっと着陸し、吻の先端で皮膚に穴をあけます。吻の先端? それって、いったい何のことでしょう?それは一種の口で、蚊の目のすぐ下から突き出ているもののことです。吻には針と呼ばれる鋭い道具が6本ついています。この6本全部を彼女はあなたの皮膚に一度に突き立てます。そして血管を探しあてれば、約1分でたっぷりの食事をとります。こういったことのすべてが、たいていの場合、あまりにもすばやく、あまりにもひそやかに行われるので、何事も起こってないと思うことがあるのです。
[解答と解説]
解答
(1) acquainted with the mosquito
(2) a mosquito
(3) からだにそなわっているセンサーで人の体を検査して選ぶ。
(4) 6本の針を持つ一種の口。蚊の目のすぐ下にある。
(5) (a) あなたが誰であれ、また、どこの国の人であれ、確かなことが1つあります。蚊と知り合いだということです。
(d) 今度蚊に刺されたら、自分は選ばれた者なのだということをちょっと思い出すようにしてください。
(e) こういったことのすべてが、たいていの場合、あまりにもすばやく、あまりにもひそやかに行われるので、何事も起こってないと思うことがあるのです。
解説
(1) 省略語句を補う問題は、直前から探す。ここでは時制が変わってはいるが、are acquainted withのところにbe動詞が含まれている。you probably wish you weren't acquainted with the mosquitoとしてみて、意味的にもO.K.かどうか確かめてみる。you wish you weren't...は、I wish I weren't ...(...でなければなあ)という仮定法過去の文の主語がyouに変ったものだから、「蚊なんぞとは知りあいでなければなあと、たぶんあなたは願うだろう」という意味にとることができ、意味的にもO.K.だとわかる。
(2) このoneは、a+(名詞)の代りになる代名詞。最も近くにあるa+(名詞)の形になりえる名詞はspeciesだが、You have met a species.という文の形にして考えたとき、a species(1つの種類)がmeetという動詞の目的語としてふさわしいかどうかという問題が出てくる。意味的に、どうもあまりよくない。「種(類)」というものは、人がmeetする対象になりえない。a species of the mosquitoとするなら、まだましだが、それでも以上の問題を必ずしもクリアしていない。そこで、もっと前から探すと、Mosquitoesがある。この語をもとにして、a mosquitoを得たほうがよい。
(3) 雌の蚊が相手を選ぶ方法は第3パラグラフに書いてある。これを簡潔にまとめる。中心とするべき文は第5文。your body moistureから後の部分を訳さないように注意しよう。訳すと簡潔さがそこなわれる。
(4) 第4パラグラフ第4文から後。6本針があることを抜かさないように。
(5) (a) ポイントはno matter who 〜、no matter where 〜、be acquainted with 〜の3つ。no matterは主にwh-節を伴い、「たとえ〜でも」という意味を表す。cf. No matter what he does, don't scold him.(彼が何をしようと、彼のことを叱らないで)。orの後ろのwhere you come fromも、no matter where you come fromということ。コロン(:)は、one thingの具体的な内容を導く働きをしている。つまり、you are...全体がone thingの内容である。you are acquainted with the mosquitoは、ユーモラスな言いかた。the mosquitoは、theをつけて種族全体を表す用法。althoughの前のダッシュ(—)は、althoughからの部分がつけたしであることを表すしるし。「〜だけれどね」という感じ。
(d) 文字どおりには「今度蚊があなたを刺したら」ということだが、日本語としては「今度蚊に刺されたら」という被害の受け身で言い表すのがよい。remember that 〜は「〜であることを思い出す」という意味。justは命令文の前に置いて命令の意味を強めたり、和らげたりするのに使う。命令の意味を強めるときには、口調も強くなるし、書きことばでは"!"のマークがつく。ここのjustは、口調を和らげるためのもの。「ちょっと、まあ、ともかく」にあたる。
(e) thisは「このこと」という意味の代名詞。allはこれにかかる形容詞。合わせてall thisは「このこと全部so はso 〜 that …(たいへん〜なので…)のso。may not have suspected anything happeningはmay have suspected nothing happening(何事も起こってはいないと感じる)として訳す。notはずいぶん前のほうに移動しているが、意味的にはanythingを否定していて、anythingと応じ合っている。<not 〜 any … = no …>だということを思い出してほしい。なぜ前のほうに移動するのかというと、英語では否定をできるだけ早く言う傾向があるから。
may have suspectedは、「過去のこと」、あるいは「現在完了形で表されるようなこと」についての推量を言う形。ここでは後者。ふつう、「〜したかもしれない」と訳すが、本文の場合は現在完了形have suspectedは「感じた結果が残っている」というような、いわゆる「結果」の意味を表している。
コラム 説明文の読みかた
この文章は、エッセイ的なおもしろおかしい口調で話が進められている。しかし、主眼は蚊について、あまり知られていないことを説明することにある。つまり、説明文の一種である。
説明文の読み取りにおいて最も重要なことは、①説明や解説の内容を理解すること、②情報をつかむことの2つである。①では、「何についての説明・解説」なのかをしっかりつかんでおく必要がある。本文のパラグラフ3では、how the female mosquito decides whom to biteという節(名詞節)によって、これが示されている。
②の情報は、専門用語や、ふだんあまり目にしない語句をまじえて提供されることが多い。そのような語句についての知識が不十分なときには、内容も理解しにくく、読むスピードも落ちてしまう。しかし情報の幅の広い現代では、これはある程度しかたのないことである。辞書以外に、百科事典などが役に立つことが多い。
第10問 竹
The Vietnamese call it "my brother," the Chinese, "friend of the people." Throughout Asia bamboo is prized for its abundance, cheapness and (a)versatility. (1)Perhaps the world's most useful plant, it is also among the most astonishing. Here are some facts about bamboo:
Bamboo may be the world's fastest-growing plant. The Japanese have recorded one that grew 47.6 inches in 24 hours. Some varieties reach heights of more than 100 feet, and their hollow stems approach a foot in diameter.
(2)Bamboo has always been a material of great importance to Eastern cultures. It has been used to make a wide variety of products, including bows and arrows, fans, toys, musical instruments, umbrellas and handmade goods.
The Japanese alone have discovered more than 1500 ways to use the bamboo that grows (b)profusely in their country. Bamboo is delicate enough to be shaved into record player needles, yet strong enough to be used in bridge construction. In 1880, after spending nearly two years testing hundreds of materials, Thomas Edison finally settled on *charred fibers of a species of Japanese bamboo for the filament in his first commercially successful *incandescent electric lamps. Remarkably, there are bamboo filament lamps from the l880s that can still be turned on today.
Bamboo is native to every continent except Europe and Antarctica and is found from sea-level (c)tropics to 12,000-foot mountains. Many of the nearly one thousand species, however, come from tropical and subtropical Asia. India has an estimated 25 million acres of bamboo, and China boasts more than 300 species.
*charred=converted to carbon by heat
**incandescent=white and glowing
問1 下線部(a)〜(c)の語の意味を表す語句を選び、その記号を答えよ。
(a) versatility
(1) the quality of producing many seeds
(2) the quality of having many different uses
(3) the quality of being impossible to set on fire
(4) the quality of being harmful
(b) profusely
(1) abundantly (2) thinly (3) sparely (4) naturally
(c) tropics
(1) the south polar regions
(2) the area used for grazing
(3) the barren region incapable of supporting much life
(4) the hottest part of the earth
問2 物を作る材料として竹のすぐれた性質をもっともよく表す英語を文中より二語選び記せ。
問3 下線部(1)、(2)を和訳せよ。
コラム bambooは「植物の1品種としての竹」または「製品の材料・素材としての竹」の意味のときには、数えられない名詞としてaもつけないし、複数形にもしない。しかし、「何種類かある竹のうちの1種類の竹」という意味のときには、数えられる名詞としてaをつけたり、複数形にしたりする。数えられない名詞は、oneで指すことができない(このパラグラフではbambooはitで指されている)。数えられる名詞の場合は、one(任意の1つ)で指すことができる(前パラグラフ参照)。また、it(それそのもの)で指すこともできる。
[語句と構文]
□Vietnamese ベトナム人
□throughout 〜 〜のいたるところで
□be prized for 〜 〜のために高く評価される
□abundance 豊富 (形容詞abundantの名詞形)
□versatility 用途の広さ(形容詞versatileの名詞形)
□among the+(最上級) 最も〜なもののうちの1つ(= one of the+(最上級))
□astonishing 驚くべきplantが後ろに省略されている。
□fastest-growing 最も速く成長する
□record 記録する
□variety 種類
□height of 〜 〜の高さ
□hollow うつろな
□stem 幹
□approach 〜に達する
□a foot in diameter 直径1フィート
□material 材料
□of great importance たいへん重要な(=very importan)
□product 生産品
□including 〜 〜を含めて前置詞。
□profusely 豊富に
□delicate 繊細な
□shave 薄く削る
□needle 針
□yet しかし
□construction 建設(動詞constructの名詞形)
□after 〜ing 〜した後で
□spend (時間) 〜ing 〜するのに(時間)かける
□hundreds of 〜 何百もの〜
□settled on 〜 〜に決める、〜を選ぶ
□fiber 繊維
□species 種類(単数と複数が同じ形)
□commercially successful 商業的に成功した
□remarkably 意外なことに(も)
□turn on 点灯する
□be native to 〜 (場所)に原産の
□except 〜 〜を除いて
□Antarctica 南極大陸
□tropics 熱帯 cf. tropical(熱帯地方の)。
□subtropical 亜熱帯の
□estimated 25 million 〜 推定2千5百万の
□boast (誇らしいものを)持っている
□the Vietnamese ベトナム人theは民族全体を表す。
□cheapness 安さ(形容詞cheapの名詞形)
□inch インチ (1 inch = 12分の1フィート。約2.5 centimeters)
□feet フィート (footの複数形。1 foot = 12 inches。約30.5 centimeters)
□Eastern cultures 東洋の諸国
□have been used 使われてきている(受動態の現在完了形)
□bow 弓
□arrow 矢
□fan 扇、うちわ
□musical instrument 楽器
□handmade 手づくりの
□goods 品物
□〜 alone 〜だけで
□way to 〜 〜する方法
□be … enough to 〜 〜するのに十分…である
□filament フィラメント
□electric lamp 電球
□the l880s 1880年代(sは複数形のs)
□continent 大陸
□from 〜 to … 〜から…まで
□sea-level 海抜のあまりない
□acre エイカー
[本文の主旨]
竹は最も役立つ驚くべき植物だ。 竹はたいへん成長が速い。丈の長い太い竹もある。竹は東洋文化のために重要な材料を提供してきた。竹の用途は非常にさまざまだ。竹はほぼ全世界にある。
[全文訳]
ベトナム人は「私の兄弟」と呼び、中国人は「人々の友」と呼ぶ。アジア中で竹は、その豊富さ、安さ、用途の広さのために尊重されている。恐らく世界で最も役に立つ植物である竹は、また、最も驚異的な植物でもある。ここに、竹についてのいくつかの事実を示すことにしよう。
竹は世界で最も速く成長する植物かもしれない。日本人は24時間で1.2メートルほども育ったものを記録に留めている。いくつかの種類は、高さが3.5メートル以上になり、その空洞の茎が直径30センチくらいに達する。
竹は常に、東洋の文化にとって重要な材料であった。竹は弓矢や扇、おもちゃ、楽器、かさ、手作りの品物を含む、さまざまな種類の製品を作るのに使用されてきた。
日本人のみに限っても、国土に豊富に育つ竹を活用する方法を、これまでに1500以上も発見している。竹は細く削るとレコードプレーヤーの針になるくらい繊細なものだが、しかし、橋の建設に使用されるほど丈夫なものでもある。トーマス・エディソンはおよそ2年かけて何百もの材料をテストした後、1880年になってついに、商業的にも初の成功をおさめることになる白熱電灯のフィラメント用に、日本の竹の1品種の繊維を炭にしたものを採用することに決定した。1880年代から保存されてきた竹のフィラメントの電球に、今でも点灯することができるものがあるのはすごいことである。
竹はヨーロッパと南極大陸を除いたあらゆる大陸にもとからあり、海面すれすれの熱帯から1万2000フィートの山々まで分布している。しかしながら、およそ1,000近い種のうちの多くは、熱帯と亜熱帯のアジアに産する。インドには、およそ2500万エーカーと見積もられる竹林があり、中国には300以上の種がある。
[解答と解説]
解答
問1 (a) (2) (b) (1) (c) (4)
問2 delicate, strong
問3 (1) 恐らく世界で最も役に立つ植物である竹は、また、最も驚異的な植物でもある。
(2) 竹は常に、東洋の諸文化にとって重要な材料だった。
解説
問1 (a) 第1パラグラフにabundance, cheapness and versatilityと、竹の長所が3つ並べられているが、このパラグラフは本文の前置きだから、この3つの具体的な内容が以降の本文中に展開されるはずと予想できる。たとえば、abundanceの具体例は第5パラグラフなどに見られる。cheapnessの具体例は特には挙げられていないが、versatilityの具体例はほぼ全体において示されている。したがって、versatilityが「用途が広いこと、用途の広さ」という意味だということをたとえ知らなくても、よく読めば問題に答えることはできる。選択肢の意味は、それぞれ以下のとおり:
(1) the quality of producing many seeds「多くの種(たね)を生み出す性質」、
(2) the quality of having many different uses「多くの異なった用途を持っている性質」、
(3) the quality of being impossible to set on fire「火がつくのが不可能な性質」、
(4) the quality of being harmful「有害であるという性質なお、versatilityは形容詞versatile(用途が広い)の名詞形。
(b) この設問も、単に暗記の成果を試しているのではなく、読解の成果のほうをかなりの割合試していると言える。選択肢(1) abundantlyは「豊富に」、(2)のthinlyは「まばらに」、(3)sparelyは「余分に」、(4)naturallyは「生れつき、自然に、もちろん」という意味だが、本文の主旨をとらえることができていれば、(1)以外はなかなか選べるものではない。
(c) この問題はヒントが少ない。暗記の成果が問われていると言ってもいいだろう。
(1) the south polar regions「南極地方」、
(2) the area used for grazing「牧草を食べさせるために使われる地域」、
(3) the barren region incapable of supporting much life「多くの生命を支えることが不可能な不毛な地域」、
(4) the hottest part of the earth「地球の最も暑い地域tropicsの直前にあるsea-levelはヒントになる。
sea-levelはふつう「海抜」という意味で使われることが多いが、ここでは「海面すれすれの」といった意味で使われている。地球温暖化により海面下に沈む運命にある国々がthe tropicsにあることはニュースなどで聞いたことがあるにちがいない。
問2 この問題はやや危い問題。というのも、候補を絞るのが難しいから。abundance, cheapness and versatilityも、「物を作る材料として竹のすぐれた性質」をよく表している。fastest-growingも、悪くはない。しかし、問題の意図は、第4パラグラフにある、delicateとstrongを答えさせることだろう。問題の意図を汲みとって答えることも大切。
問3 (1) コンマによって前後に区切られているが、接続詞がなく、また、コンマより前に動詞がなく、the world's most useful plantという名詞的な語句がぽんと置かれているだけ、という変則的な構文になっている。このような場合は分詞構文である。perhapsの存在は、動詞的なものが隠れていることを暗示している。Perhapsの後ろにbeingが隠れている。この分詞構文が表す意味は、「理由」や「時」のような派手なものではなく、補語が表すようなじみな意味。全文訳に示したような訳しかたをする。itはこのパラグラフの第2文に出てくるbambooを指している。among the+(最上級)+(複数名詞)は、one of the+(最上級)+(複数名詞)と同じ。形容詞astonishing(驚くべき)の後ろに、複数名詞のplantsが省略されている。
(2) has always been 〜は「ずっと〜だった」という「継続」の意味。a materialの後ろの形に注意する。形容詞と同等の意味になる、of +(抽象名詞)の形になっている。この形が便利なのは、抽象名詞の前にgreatやnoやsomeなどの修飾語を置くことができる点であり、ここではgreat(大きな)が使われている。of great importance=very important。to Eastern culturesのtoは、important to 〜(〜にとって重要)のto。importantがof importanceとなっても、従える前置詞はいっしょだ。Eastern culturesが複数形になっているわけは、Japanese cultureやChinese cultureなど、いくつかの種類があるものを1まとめにして表しているから。このsは、日本語の「諸」にあたる。
コラム 前置詞句の修飾関係をつかんで読む
atやofなどの前置詞で始まる句を前置詞句という。前置詞句をひとかたまりの語句としてとらえ、さらに、その語句が別のどの語句を修飾しているのかつかむことは、読解の重要な基礎。前置詞句は①形容詞的、②副詞的のどちらかとして働く。①のときは、直前の名詞的な語句を修飾する。たとえば、本文l.4のsome facts about bambooでは、about bambooがその前のsome factsを修飾している。また、l.87のa material of great importanceでは、of great importanceがa materialを修飾している。②の場合は、その文の中の動詞的な部分を修飾する。たとえば、l.2のis prized for its abundanceでは、for its abundanceがis prisedを修飾している。
第11問 テレビの影響
Many people are worried about what television has done to the generation of American children who have grown up watching it. For one thing, recent studies tend to show that TV *stifles creative imagination. Some teachers feel that television has taken away the child's ability to form mental pictures in his own mind, resulting in children who cannot understand a simple story without visual illustrations. Secondly, too much TV too early tends to cause children to withdraw from real-life experiences. Thus, they grow up to be passive spectators who can only respond to action, but not initiate it.
The third area of concern is the serious complaint, frequently made by elementary school teachers, that children exhibit a low tolerance for the frustrations of learning. Because they have been conditioned to see all problems resolved in 30 or 60 minutes on TV, they are quickly discouraged by any activity that promises less than instant *gratification.
But perhaps the most serious result is the impact of television violence on children, who have come to regard it as an everyday thing. Not only does this increase their tolerance of violent behavior in others, but most authorities now *concede that under certain conditions, some children will imitate anti-social acts that they witness on television.
*stifle 抑える,押し殺す gratification 満足 concede (真実と)認める
問1 次の(1)〜(8)の各文について、テレビが子供に与える影響として本文中にあげられているものは○を、あげられていないものは×を記入しなさい。
(1) Children cannot understand stories without illustrations.
(2) TV makes children more active.
(3) Children do not understand visual presentations.
(4) Children prefer real-life experiences to TV shows.
(5) Children become frustrated with activities when they cannot get immediate satisfaction.
(6) Children regard violence as ordinary.
(7) Children copy the violent acts they watch on TV.
(8) TV violence decreases children's tolerance of violent acts.
[語句と構文]
□be worried about 〜 〜について悩んでいる
□generation 世代
□for one thing 1つには
□tend to 〜 〜する傾向がある
□creative 創造的な
□imagination 想像力
□feel that 〜 〜と思っている
□take away 〜 奪い去る
□ability to 〜 〜する能力
□form 形成する
□mental picture 心に描く映像
□result in 〜 〜という結果となる
□visual 目に訴えかける
□secondly 第2に
□cause O to 〜 Oに〜させる
□withdraw from 〜 〜から引きこもる
□real-life 現実の
□thus このようにして
□grow up to be 〜 おとなになってから〜になる
□passive 受動的な
□spectator 傍観者
□respond to 〜 〜に反応する
□action 行為
□initiate 始める
□of concern 重要な関係にある
□complaint ぐち、不満
□frequently 頻繁に
□exhibit 示す
□tolerance for 〜 〜に対するがまん
□frustrations of learning 学習に関する欲求不満
□be conditioned to 〜 〜するように慣らされている
□see O+(過去分詞) Oが〜されるのを見る
□resolve 解決する
□be discouraged by 〜 〜によってくじかれる
□less than まったく〜でない(形容詞を修飾)
□the impact of 〜 on … …に対する〜の影響
□come to 〜 〜するようになる
□regard O as 〜 Oを〜と見なす
□Not only does A 〜 but B … Aが〜するばかりでなくBも…する
□under certain conditions 一定の条件の下では
□anti-social 反社会的な
□witness 目撃する
[本文の主旨]
テレビは心像を描いたり、自ら行動を起こしたりする能力を子供たちから奪いとったのではないだろうか。テレビで短時間に解答が出るのを見慣れているので、子供たちはすぐに答えが出ない問題にうまく取りくむことができなくなっている。テレビの子供たちに対する最も深刻な影響は暴力であろう。暴力事件をまねする子供が出てくるかもしれない。
[全文訳]
テレビを見ながら成長したアメリカの子供たちの世代に テレビがどのような影響を与えたのかということについて、悩んでいる人たちがたくさんいる。1つには、最近の多くの研究によると、テレビは創造的な想像力を麻痺させるとされている。テレビは心に映像を描く能力を子供から奪いとってしまい、その結果、目に訴えかけるイラストがないと単純な話でも理解できない子供ができてしまったと感じている教師もいる。第2には、非常に幼い時期にテレビを見すぎると、現実生活の経験を避けてうちに引きこもる子供になってしまうらしいのだ。彼らはおとなになっても、行動に対して反応することしかできず、自らは行動を起こさない、受け身の傍観者になってしまう。
第3に関心の的になっている事柄は、小学校の先生たちが本気でいつもぐちることだが、子供たちは学習するときに、すんなり進まないとすぐにがまんしきれなくなるということである。彼らはテレビであらゆる問題が30分ないし60分のうちに解決されるのを見るのに慣れているので、満足を全然即座にもたらさないような活動には、どんなものでも簡単にまいってしまうのである。
しかし、テレビがもたらしたことのうちで恐らく最も深刻なのは、テレビに写し出される暴力が子供たちに与える影響だろう。子供たちはそれを日常的なことと見なすようになっている。このためにほかの人たちに見られる暴力行為に対して無神経になっているばかりでなく、たいていの権威者が認めているように、テレビで見ている反社会的な行動を模倣する子供たちも、ある条件下では出てくるだろう。
[解答と解説]
解答
問1 (1) ○ (2) × (3) × (4) × (5) ○ (6) ○ (7) ○ (8) ×
解説
問1 本文では断言でなく「かもしれない」という調子で述べられているものも、この問題では○として選ぶ。設問の指示にある「文本文中にあげられているもの」とは、その意味である。
(1) Children cannot understand stories without illustrations. 「子供たちはイラストなしの話を理解することができない」。第1パラグラフ第2文の後半に対応している。内容はほぼ本文そのままであるから、○になる。result in 〜は「〜という結果になる」という意味。result in successなら「成功に終る」。本文ではinの後に人がきている。したがって、そのような人を生み出すという意味で使われている。resultingは分詞構文。この部分を言いかえると、and television has resulted in ... となる。without illustrationsは、本文でもこの選択肢の文でも、storyあるいはstoriesという名詞にかかる形容詞的な前置詞句として用いられている。
(2) TV makes children more active.「テレビは子供たちをより積極的(活動的)にする」。これは第1パラグラフにあるSecondly以下に対応している。withdraw from real-life experiencesは「現実生活の経験から引きこもる」という意味。grow up to be passive spectatorsは「成長して消極的な(受け身の)傍観者になる」。このto不定詞は、「結果」を表す副詞的用法の不定詞。more activeとは逆のことばかり言われているので、×。
(3) Children do not understand visual presentations.「子供たちは視覚的に示されるものは理解しない」。(1)とは逆のことを言っているので、×。presentationは動詞present(提示する)の名詞形で、「提示、提示する(される)こと」の意。ただし、本文ではsがつけられて「提示されるもの」の意味になっていることに注意しよう。
(4) Children prefer real-life experiences to TV shows.「子供たちはテレビの番組よりも現実生活の経験のほうが好きだ」。(2)と逆のことを言っているので、×。prefer A to B「BよりもAのほうが好き」。
(5) Children become frustrated with activities when they cannot get immediate satisfaction.「即座に満足が得られないと、子供たちはいろいろな活動をいやだと思うようになる」。第2パラグラフのexhibit a low tolerance for the frustrations of learningの部分に対応している。この部分は直訳すると、「学習の欲求不満に対して低いがまんを示す」となるが、つまりどういうことかというと、「学習しているうちにうまくいかないと、がまんできなくなる」ということ。 内容的に一致しているので、○。 be(come) frustrated with 〜「〜に怒りを覚える、〜をくやしがる、〜が気にいらない」。
(6) Children regard violence as ordinary.「子供たちは暴力をふつうと見なす」。第3パラグラフの regard it as an everyday thingの部分に対応。どちらもregard A as B(AをBと見なす)が使われていて、ordinary(通常の)は形容詞、an everyday thing(毎日のこと)は名詞という品詞の違いはあるが、同じことを言っているので、○。
(7) Children copy the violent acts they watch on TV.「子供たちはテレビで見る暴力行為をまねする」。文章の最後のところに対応。imitateがcopyに、the violent actsがanti-social actsに対応している。従って、○。
(8) TV violence decreases children's tolerance of violent acts.「テレビでやっている暴力のために、子供は暴力行為に対して寛容でなくなる」。つまり、暴力行為を許さなくなる、と言っているが、これは第3パラグラフの内容とは反対。したがって、×。children's tolerance of 〜(子供の〜への寛容)は、children are tolerate of 〜(子供は〜に寛容だ)から出た名詞化形。名詞化形はそれになる前の文の形を思い浮べて、解きほぐして意味をとらえるようにしよう。また、この選択肢の文が無生物主語の文であることにも注意。無生物主語は「〜のために」などと置き変えて意味をとると、わかりやすくなる。
コラム いくつかある論点を列挙するための語句
論説調の文章では、論点をいくつか並べて挙げることがよくある。たとえば、この文章では、テレビの悪影響について、次のように論点が4つ並べられている。
① For one thing,... ② Secondly,... ③ The third area of concern is...
④ But perhaps the most serious result is...
このような論点の始まりを合図する語句に注意すると、文章の展開がわかりやすくなる。論点の始まりは、単純な場合は序数(first, secondなど)を含む表現で示されるが、
上の①や④のように、単純でない表現になることもある。besides(その上)やin addition to(〜に加えて)など、論点を追加する表現にも注意しよう。
第12問 カラー柔道着論争
Here at Tokyo's Kodokan, the training center where judo was born more than a century ago, the belts come in a rainbow of colors—from orange to brown to purple to black.
The ( a ), however, are all white. And, in an increasingly bitter dispute that could affect judo's future in the Olympics, (1)Japan has been opposed to Europe not wanting to keep them that way.
"(2)We can't expect the world to do what we say just because judo was born in this country," said 0kai Yoshiro, senior managing director of the All Japan Judo Federation. "But we do feel it is important to preserve the best aspects of the sport."
The color controversy dates back more than ten years to a suggestion by Olympic judo gold medalist Anton Geesink of the Netherlands that different colored uniforms might make it easier for fans to distinguish between competitors. Few judo lovers would argue that (3)it isn't a problem.
Wrestlers' uniforms often hang over the red or white sashes tied around their belts during competition, making it hard for ( b ) in the more distant seats to tell who's who.
Europe has allowed colored uniforms in its competitions since 1988. In such matches, one wrestler wears blue, the other white.
But Okai, himself a black-belt, said that Japan opposes the idea because the color introduction would force competitors to buy more ( c )—which can cost 20,000 yen each. That is a considerable cost in some developing nations, he said, and could injure the sport's popularity in less wealthy areas.
問1 文中の空所(a)〜(c)に入れるのに最も適切なものをア〜エの中から1つずつ選び、記号で答えなさい。
ア. fans イ.colors ウ.belts エ.uniforms
問2 下線部(1)、(2)を日本語にしなさい。
問3 下線部(3)のitが指す具体的な内容を日本語で答えなさい。
問4 オランダのオリンピック金メダリスト、アントン・ヘーシンク氏の意見の内容を日本語で答えなさい。
問5 全日本柔道連盟の岡井義郎氏がカラー柔道着の導入に反対している最大の理由を日本語で述べなさい。
[語句と構文]
□here at 〜 ここ〜では
□come in 〜 〜がある
□a rainbow of colors いろいろな色=all the colors of the rainbow。
□increasingly ますます
□bitter dispute 激しい論争
□affect 影響を及ぼす
□be opposed to 〜 〜に反対している
□Europe not wanting... ...を望まないヨーロッパ
□keep O that way Oをそのようにしておく
□expect O to 〜 Oに〜することを期待する
□not 〜 just because... ただ〜だからといって〜なのではない
□senior managingdirector 専務理事
□federation 連盟
□do ほんとうに〜(動詞の強調)
□preserve 保つ
□aspect 面
□controversy 論争
□date back 〜 〜に逆のぼる
□suggestion 意見、提案
□make it easier for … to〜 …が〜するのをもっと容易にするitは仮主語。
□distinguish between 〜 〜を区別する
□competitor 競技者
□argue that 〜 〜と主張する
□hang over 〜 〜の上に覆いかぶさる
□sashes tied around their belts 帯につけたひも(tiedは動詞tieの過去分詞で形容詞的用法)
□competition 競技
□making … =and make …(分詞構文)
□distant 遠く離れた
□tell who's who 誰が誰なのか区別する
□allow 許可する
□match 試合
□black-belt 黒帯保持者
□oppose 反対する
□introduction 導入、採用
□force O to 〜 Oに〜するように強いる
□considerable かなりの
□developing nations 発展途上国
□injure 損う
□popularity 人気
□less wealthy 比較的裕福でない(more wealthyの反対)
[本文の主旨]
柔道の帯の色ははなやかだ。ヨーロッパは白一色の柔道着に反対しているが、日本は白を守りたがっている。柔道連盟の理事は、白い柔道着は柔道の最もよい面なので守っていきたいと発言している。論争は、柔道着に色をつければ選手を見分けるのが楽になるという意見から始まった。識別用のヒモに柔道着がかぶさって選手の見わけができなくなることがある。ヨーロッパではカラー柔道着が試合に取り入れられている。 日本がカラー柔道着に反対なのは、導入にお金がかかり、場合によっては柔道そのものが敬遠されてしまう可能性があるからだ、と理事は言っている。
[全文訳]
柔道が1世紀以上も前に生まれた、ここ東京の講道館では、橙から茶、紫、黒までと、いろいろな色の帯が見られる。
しかし、柔道着は全部白だ。そして、オリンピックでの柔道の将来に影響を及ぼしかねない、ますます激しさを増しつつある論争において、柔道着をこのままにしておくことを望まないヨーロッパに、日本はずっと反対してきている。
「柔道がこの国で生まれたからというだけで世界の人々が我々の言うことを聞くとは思っていませんが、我々はこのスポーツの最もよい面を守ることが大切だと痛感しています」と言っているのは、全日本柔道連盟の専務理事岡井義郎氏である。
カラー柔道着論争は、10年以上前にオランダのオリンピック金メダリスト、アントン・ヘーシンク氏が、柔道着の色が異なれば観客が選手を見分けるのが楽になるかもしれないと提案したことに逆のぼる。そういうことは問題とはならないと主張する柔道愛好家はほとんどいないだろう。
試合中に、選手の帯に結びつけた紅または白のヒモにしばしば柔道着がかぶさるために、離れた席の観客には誰が誰やら分かりにくくなることがよくある。
ヨーロッパでは1988年以来、カラー柔道着を試合で認めている。そのような試合では、一方の選手は青、もう一方は白を着る。
しかし、岡井氏は、氏自身黒帯だが、日本がその考えに反対なのは、カラー柔道着を導入すると競技者たちに一着2万円もする柔道着をもっとたくさん買わせることになるからだと言っている。発展途上国によっては、これはかなりの出費になるところもあり、あまり裕福でない地域では柔道の人気にかげりが出ることもありえるというのである。
[解答と解説]
解答
問1 (a) エ (b) ア (c) エ
問2 (1) 柔道着をこのままにしておくことを望まないヨーロッパに、ずっと日本は反対してきている。
(2) 柔道がこの国で生まれたということだけで世界の人々が我々の言うことを聞くとは思っていません。
問3 (ファンにとっての)競技者の識別を楽にすること。
問4 柔道着の色が異れば、観客が選手を見分けるのが楽になるかもしれない。
問5 カラー柔道着は導入にお金がかかるので、発展途上国の中には出費に耐えられない国もあり、その結果柔道の人気にかげりが出るかもしれないから。
解説
問1 (a) 直後のhoweverをヒントにして、この文が前段の内容とは反対のことを言っているはずと考える。すると、帯は色とりどりだが、その反対に柔道着は全部白、という流れがつかめるはず。
(b) <make it hard for … to 〜>という構文をとらえ、それが前段のmake it easier for fans to ...とまったく同じであることに注意する。
(c) カラー柔道着の導入によって、競技者に買うことが強いられるものは何だろうか。それが入る。
問2 (1) opposeという動詞は次のように使う。①oppose+(提案など)「(提案などに)反対する」、②S be opposed to+(人など)「Sは(人などに)反対している」。本文では②が、現在完了形で用いられている。従って、Japan has been opposed to Europeまでは「日本はヨーロッパに反対してきている」という意味。そしてEuropeは、not wanting to keep them that wayという分詞によって修飾されている。この分詞はwhich does not want to...のように、<主格の関係代名詞+動詞>で言いかえることができる種類のもの。keep them that wayはVOC。Oのthemは(a)で問われたthe uniformsを指し、that wayはall whiteを指している。
(2) 最大のポイントは、not 〜 (just) because …(…だからといって〜なのではない)。この意味からわかるように、このnotは文全体を否定するものではなく、because …の節の部分のみ否定するもの。what we sayは「私たちの言っていること」の意で、whatは関係代名詞。
問3 文の意味を正確にとれば、itが何を指しているのか、おのずとわかる。fewはaがついていないから否定の意味、isn'tも否定。このようなものを2重否定と言う。「〜ではないと主張する者はほとんどいない」という意味。wouldは「ていねい表現」。「だろう」と訳せばよい。結局この文は「そういうことは問題にはならないと主張する柔道愛好家はほとんどいないだろう」という意味。この意味に基いてitが指すものを探す。
問4 ヘーシンク氏の意見は第4パラグラフ第1文に示されている。そこのthat節の中身を訳せばよい。make itのitは仮目的語。真の目的語はfor fans to distinguish between competitors。このfor fansは、to不定詞の意味上の主語を示す。mightは時制の一致のために過去形になっているが、実体はmay。
問5 岡井氏のカラー反対の根拠は、第3パラグラフと最後のパラグラフに示されている。第3パラグラフでは、it is important ...の部分に、また、最後のパラグラフでは、最後の文に、それぞれ注目する。それぞれに含まれているthe sport(このスポーツ)とは柔道のこと。後者の最後にあるless wealthyはpoorの「えんきょく表現」。
コラム ていねい表現とえんきょく表現
ていねい表現とは、主に助動詞による表現で、断言調を避け、当りを柔らげるために使われる。たとえば本文の第2パラグラフ第2文にあるcould affectは、過去を表しているのではなく、can affect(影響を及ぼしえる)と言うよりもていねいな言いかたになる。単にaffect(影響を及ぼす)とするより、can affectのほうがていねいだが、could affect(影響を及ぼしかねない)とすれば、さらにもっとていねいになる。第4パラグラフのwouldも、ていねいな言葉づかい。
えんきょく表現とは、「死ぬ」を「亡くなる」と言ったり、「お隠れになる」と言ったりするのと同じで、はっきり言うと差しさわりがあると思われる表現を避けて、より当りさわりの少ない言いかたにすることを言う。本文ではpoorを避けて、less wealthyという言いかたにしている。
第13問 とうふ
About fifteen hundred years ago the Japanese imported many aspects of Chinese culture: the writing system, political institutions, and perhaps most important, Buddhism. Buddhist priests were expected to eat only vegetables, and tofu, made from the soybean, was a very important food in their diet. When Buddhism was introduced from China, tofu was also brought to Japan.
Tofu developed in different ways in China and Japan. While the Chinese often changed the taste of tofu by mixing it with strongly-flavored vegetables or meat, the Japanese preferred to eat it using only a simple sauce. Even now, traditional Japanese cooking preserves the original delicacy of tofu, though the way it is served may change from season to season. In summer, for example, it is simply served cold, while in winter it is often eaten as part of a hot dish.
The soybean was introduced to the West in the eighteenth century, but little interest was taken in it; only scientists recognized its high food value. During the Second World War, when meat was in short supply, the U.S. government encouraged the American people to eat soybean products. However, they never became very popular and, after the war, interest in them dropped off as the supply of meat became plentiful again.
In recent years, people in the West have become increasingly aware of the dangers of eating too much animal fat, and as a result, they have turned more and more to soybean products. This is mainly because the soybean provides almost the same food value as meat, and in addition is a lot more healthful. Much of the margarine, salad oil, and cooking oil in daily use is now produced from soybean oil. Tofu, a representative soybean product and originally one of the main foods in the diet of Chinese priests, is considered to be one of the healthiest foods available to man.
問1 Tofu came to Japan together with Buddhism, because ________
① Buddhist priests ate tofu rather than vegetables.
② it was a very important food in the diet of Buddhist priests.
③ the religion came to Japan together with political institutions.
④ the religion was the most important aspect of Chinese culture.
問2 Japanese tofu dishes differ from Chinese tofu dishes in that ________
① the original taste of tofu is preserved in Japanese dishes.
② they are served the same way throughout the year.
③ they have a better taste than Chinese tofu dishes.
④ they have a greater variety than Chinese tofu dishes.
問3 During the Second World War the United States government encouraged the American people to eat soybean products because ________
① Americans recognized their high food value.
② little interest was taken in the soybean.
③ meat was less available than before.
④ they were found to taste very good.
問4 The reason people in the West have become more and more interested in tofu and other soybean products is that _________
① eating too much animal fat is considered unhealthy.
② meat has become too expensive to buy.
③ these products are more readily available.
④ they have become tired of eating meat.
[語句と構文]
□aspect 面
□writing system 書記法、書くための文字のしくみ一式
□institution 制度
□Buddhism 仏教(cf. Buddhist「仏教徒」)
□priest 僧侶
□be expected to 〜 〜するものと思われている(expect O to 〜の受動態)
□soybean 大豆
□diet 食物
□mix A with B AとBをまぜる
□strongly-flavored 香りの強い
□prefer to 〜 〜するほうを好む
□simple sauce まざりけのないソース(醤油のこと)
□preserve 保つ、守る、失わないで保つ
□delicacy 繊細さ(形容詞delicateの名詞形)
□from season to season 季節季節により
□dish 料理
□recognize 認め知る
□food value 栄養価
□be in short supply 供給が不足している
□encourage O to 〜 Oに〜するように奨励する
□interest in 〜 〜への関心
□drop off 衰える、減る
□increasingly ますます
□become aware of 〜 〜に気づくようになる
□animal fat 動物性の脂肪
□as a result その結果
□more and more ますます
□turn to 〜 〜に向かう
□S is mainly because 〜 Sはおもに〜だからである
□provide 提供する
□the same A as B Bと同じA
□in addition その上
□margarine マーガリン
□salad oil サラダオイル
□in daily use 日常使われている(形容詞的に使われている)
□representatve 代表
□be considered to 〜 〜すると思われている
□be available to 〜 〜に手に入る、〜に利用できる
[本文の主旨]
昔日本が中国から輸入したもののうち最も重要だったのは仏教で、仏教とともにとうふも日本に伝来した。中国のとうふ料理はとうふ本来の味を変えてしまうが、日本のとうふ料理はもともとの味をそこなわないようにする。西欧ではこれまで、あまり大豆製品には関心が払われてきていない。近頃では大豆は西欧でも健康食品として注目されるようになった。大豆は最高の健康食品なのである。
[全文訳]
とうふは中国と日本で、異なった発展のしかたをした。中国人は香りの強い野菜や肉とまぜて、とうふの味を変えることが多かったが、日本人はまざりけのないソースのみで食べるのをむしろ好んだ。伝統的な和風の調理法では、供しかたは季節により変るかもしれないが、今でもとうふのもともとの繊細さを保つようにしている。たとえば夏には、そのまま冷たいまま食卓に出される。一方冬には、熱い料理の一部として食される。
大豆は西欧には18世紀に紹介された。しかし、あまり関心は払われなかった。その高い栄養価を認めたのは科学者だけだった。アメリカ合衆国政府は第2次世界大戦中に肉が不足したとき、国民に大豆製品を食べるように奨励した。けれども大豆製品はまったく不人気で、戦後肉の供給がふたたび十分になると、関心が持たれなくなった。
近年ではますます多くの西欧人が動物性の脂肪のとり過ぎの危険に気づいている。その結果、ますます多くの人たちが大豆製品に目を向けている。これは主には、肉にほぼ匹敵する栄養価が大豆に備わっており、おまけにずっと健康によいからである。日常使用されるマーガリンやサラダオイルや調理用の油の多くは、今や大豆の油から作られている。代表的な大豆製品であり、もともと中国の僧侶たちの食事での主な食べものであったとうふは、人間が手に入れることのできる最も健康的な食品の1つと考えられている。
解答と解説
解答
問1 ② 問2 ① 問3 ③ 問4 ①
解説
本文の内容に合うように設問の英文の空所に、because節やthat節の内容を補わせる問題。設問の文から読みはじめるとよい。○×式の内容合致問題とは異なり、少なくとも、設問に与えられている主節の内容には絶対誤りがないので、主節を先に読んでおき、文章の内容をつかむヒントにすることができるからだ。解答時間節約のために、この方法をとるとよい。問1は「とうふは仏教とともに日本にやってきた。なぜなら_______」、問2は「日本のとうふ料理は中国のとうふ料理とは異なる。_______という点において」、問3は「第2次世界大戦中にアメリカ合衆国政府は国民に大豆製品を食べるように奨励した。なぜなら________」、問4は「西欧の人々がとうふや他の大豆製品にますます関心を持つようになっているわけは________である」と読める。とうふの伝来の歴史と料理法、西欧での大豆・とうふ事情を述べた文章だと、あらかじめ内容がつかめる。設問の文はふつう、文章に出てくる順に並んでいることが多い。
次に本文を読みながら、対応する個所を探す。
問1 設問の文の主節部分は第1パラグラフの第3文に対応。第2パラグラフはとうふの料理法に話が移っているから、because節の内容は、第3文より前にあると予想できる。そこで、直前の第2文を見ると、「仏教のお坊さんは菜食が本分、とうふはお坊さんにとって重要な食品だった」とある。この内容から次の第3文の内容へ、「だから」でつなげておかしくないし、十分正当だから、この内容を含むものを選択肢から選べばよい。選択肢の①は「仏教の僧侶は野菜よりもむしろとうふを食べた」だが、本文中にこのようなことは言われていない。③は「その宗教は政治制度とともに日本にやってきた④は「その宗教は中国文化の最も重要な面であったA rather than B「BよりもむしろA」
問2 日本と中国のとうふ料理の相異点を述べた個所は、第2パラグラフの第2文から。eat it using only a simple sauce やtraditional Japanese cooking preserves the original delicacy of tofuやit is simply served coldといった語句に注意すると、日本ではシンプルな料理法で食べることがつかめよう。選択肢①「とうふのもともとの味わいが日本料理に残っている」、②「1年中同じしかたで食卓に出される」、③「中国のとうふ料理よりも味がよい」、④「中国のとうふ料理よりもずっとバライエティーに富んでいるしたがって、①がよい。A differ from B「AはBと異なる」、in that 〜「〜である点において」、throughout the year「1年中」
問3 第2次世界大戦中にアメリカ合衆国政府が国民に大豆製品を食べるよう奨励したという記述は、第3パラグラフの第2文にある。その文中に、when節があり、「肉が供給不足になったときに」という意味を表している。この第2文の前の文に、大豆の栄養価が高いことを科学者が認識していたとあるが、このことは米政府による大豆奨励の間接的な理由だったとしても、直接の理由ではない。when節のほうがもっと直接的である。選択肢①「アメリカ人がその栄養価の高さを認めた②「大豆にはあまり関心が払われなかった③「肉が以前よりも手に入らなくなった④「たいへんおいしいとわかった recognize「認める」、take interest in 〜「〜に関心を持つ」、less 〜 than …「…よりも〜でない」(←→more 〜 than …)。
問4 西欧でとうふなどの大豆製品への関心が高まったわけは、第4パラグラフの始めのところにある。as a result(その結果)によって導かれるのはもちろん結果だから、その原因はその前にあるはず。そこで前を見ると、the dangers of eating too much animal fat(動物性の脂肪を食べすぎることの危険)にますます気づくようになったとある。うしろにThis is mainly because 〜(これは主に〜だから)に導かれて出てくるものは、なぜ他のものではなくて特に大豆なのかについての、裏づけとしての理由。したがってどちらかといえば、理由として直接的でない。This is mainly becauseは、とうふがone of the healthiest foods available to man(人間が手に入れることのできる最も健康的な食品のうちのひとつ)であるという結論にもっていくための、また別の新な展開の目印になっている。選択肢①「動物性の脂肪を食べすぎるのは健康によくないと思われている②「肉は高すぎて買えなくなった③「これらの製品はより簡単に手に入る④「肉を食べることに飽きたthe reason (why …) is that 〜「…である理由は〜である readily「容易に、すぐに」、become tired of 〜「〜に飽きる」
第14問 高齢化社会
When is a person old? There are many individuals who still seem 'young' at seventy or more, while others appear 'old' in their fifties. From another point of view, sumo wrestlers, for instance, are 'old' in their thirties, whereas artists' best years may come in their sixties or even later. But in general, people are old when society considers them to be old, that is, when they retire from work at around the age of sixty or sixty-five.
Nowadays, however, the demand for new work skills is making more and more individuals old before their time. Although older workers tend to be dependable, and have much to offer from their many years of experience, they are put at a disadvantage by rapid developments in technology. Older people usually find it more difficult to acquire the new skills required by technological changes, and they do not enjoy the same educational opportunities as young workers.
When they finally leave work and retire, people face further problems. The majority receive little or no assistance in adjusting to their new situation in the community. Moreover, since society at present appears to have no clear picture of what place its older members should occupy, it is unable to offer them enough opportunities to have satisfying social roles after they retire.
In the past, the old used to be looked upon as experts in solving various problems of life. Today, however, they are no longer regarded as such and are seldom expected to play significant roles in social, economic and community affairs. With the number of older people in the population rapidly increasing, we need greatly to increase and improve the opportunities provided for them so that they can participate in society with dignity and respect.
問1 People are normally regarded as old when 1 .
① they are in their fifties
② they are judged to be old by society
③ they consider themselves too old to work
④ they reach the age of seventy
問2 Changes in technology can 2 .
① enable older workers to make better use of their experience
② give older people opportunities for new jobs
③ make it easier for older workers to acquire new skills
④ make older people's knowledge and skills out of date
問3 After finally retiring, most people 3 .
① are given new social roles by society
② do not need assistance in making the necessary adjustments
③ have few disadvantages in their new situation
④ have to work out their social roles largely for themselves
問4 According to the fourth paragraph, the position of old people in society today largely depends on 4 .
① how many problems they are able to solve
② the age at which they finally retire from their work
③ the rapid increase in the number of retired people in the community
④ what opportunities they are given by society
[語句と構文]
□individual 個人
□while 〜 〜である一方
□appear 〜 〜に見える
□in one's fifties 50(歳)代で
□from another point of view 別の見方から(すると)
□sumo wrestler 相撲とり
□for instance たとえば(=for example)
□whereas 〜 であるが
□one's best years 最盛期
□in general 一般的に(言うと)
□consider O to be 〜 Oを〜であると見なす
□that is すなわち
□retire from 〜 〜から引退する
□at around the age of sixty-five 65歳くらいで(around=about)
□nowadays 今では
□demand for 〜 〜の需要
□work skill 仕事上の技能
□more and more 〜 ますます多くの〜
□make+OC OをCにする (more and more individualsがO、oldがC)
□before one's time まだその時とならないうちに
□tend to be 〜 〜である傾向がある
□dependable 頼れる
□have much to 〜 〜するべきものを多く持っている
□put O at a disadvantage Oを不利な立場に置く
□technology 科学技術、テクノロジー cf. technological(科学技術の)
□find it C to 〜 〜することをCであると思う(itは仮主語)
□acquire 取得する
□the same A as B Bと同じA
□educational opportunity 教育の機会
□leave work 職場から去る
□face 〜 〜に直面する
□further 更なる
□the majority 大多数
□assistance 援助(動詞assistの名詞形)
□in 〜ing 〜するときに(when 〜で言いかえられる)
□adjust to 〜 〜に適応する
□situation 立場
□the community 地域社会
□moreover その上
□society at present 今の社会
□appear to 〜 〜するように見える
□have no clear picture of〜 〜についてよくわかっていない
□occupy 占める
□be unable to 〜 〜することができない
□an opportunity to 〜 〜する機会
□satisfying 満足のいく
□role 役割
□in the past 過去において(は)
□the old 老人(複数扱い。=old people)
□used to 〜 よく〜したものだ
□look upon O as 〜 Oを〜と見なす
□expert 熟練者、ベテラン
□no longer 〜 もはや〜ない
□regard O as 〜 Oを〜と見なす
□seldom めったに〜ない
□be expected to 〜 〜するものと思われている
□play a significant role in 〜 〜において重大な役割を果たす
□affair こと
□with the number of 〜 increasing 〜の数が増えているので
□greatly 大いに
□provide O for 〜 Oを〜に対して提供する
□so that S can 〜 Sが〜できるように
□participate in 〜 〜に参加する
□with dignity 威厳をくずさずに
□with respect 敬意を払われつつ
[本文の主旨]
人は一般に、社会から年寄りと見なされる60歳頃に年寄りになる。科学技術の進歩についていけなくて、60歳頃にならないうちに年寄り扱いされる人たちが増えてきている。定年になり職場から離れた後にも問題はある。 地域社会での役割が十分には与えられないのだ。昔と違って敬まわれなくなった老人たちのために、社会に参加する機会を提供する必要がある。
[全文訳]
人が年寄りになるのはいつだろう? 50歳代で「年寄り」くさく見える人たちがいる一方、70歳かそれ以上になっても、まだ「若く」見える人がたくさんいる。また別の見方からは、たとえば、相撲の力士は30代でいわゆる「年寄り」になってしまうが、その一方、芸術家の最盛期は60代、あるいは、その後でもやって来ることがある。しかし、一般的には、社会から年寄りと見なされるときに、すなわち、60歳ないしは65歳頃になって仕事から引退するときに、人は年寄りになる。
しかしながら今日では、仕事において新しい技術が強く求められるために、まだそれほどでもないうちに年寄りにされてしまう人がますます多くなってきている。年のいった働き手は一般に頼りにできるし、多年にわたる経験があるので多くの寄与ができるのだが、科学技術の急速な発達のために不利な立場に追いやられている。年のいった人たちは、若い人にくらべると、科学技術上の変化から要請される新技術について、身につけるのは難かしいと思うのがふつうだし、また、若い働き手と同じ教育を受ける機会にも恵まれていない。
職場からついに離れて引退するとき、人はさらなる問題に直面する。大多数の者は地域社会での新しい立場に順応するのに際して、援助を受けることがほとんどないか、あるいは、まったくない。さらに、年寄りが地域社会内でどのような位置を占めるべきかということについて、今の社会ははっきりわかっていないらしく、満足のいく社会的役割を引退後に持つ機会を十分には与えることができないのである。
過去においては、年寄りの人たちは人生のさまざまな問題を解決する際の熟練者と見なされた。しかしながら今日では、彼らはもはやそのような者と見なされることはなく、社会のこと、経済のこと、それに地域社会のことにおいて、重要な役割を演じることはめったに期待されなくなった。人口内に占める比較的に年取った人の数が急速に増えるにつれ、そのような人たちが威厳をくずさずに、また、敬意を払われつつ、社会参加できるように、彼らのために提供される機会を増やしたりよくしたりする必要が大いにある。
[解答と解説]
解答
問1 ② 問2 ④ 問3④ 問4 ④
解説
センター試験のこの問題は、あらかじめ設問の英文を見ておくと、本文が読みやすくなる。問題は、本文の対応する個所を探し、選択肢を1つ1つ確かめていく。
問1 「人はふつう、〜であるときに年寄りであると見なされる第1パラグラフの最後の文の内容に対応。そこにはpeople are old when society considers them to be old(年寄りであると社会が見なすときに年寄りになる)とある。society considers them to be oldは、to不定詞をCとするSVOCの文型。that節を用いて、society considers that they are oldと言うのとほぼ同じ。
選択肢は①「50代になる」、②「社会によって年寄りになったと判断される」、③「年を取りすぎて働くことができないと自ら考える」、④「70歳に達する」ということであるから、②が正解。normally「ふつう、たいてい」(=usually)。judge O to be 〜(Oを〜であると判断する)。
問2 「科学技術における変化は、〜することができる第2パラグラフの最後の文のコンマ以前の部分に対応。Older people find it more difficult to acquire 〜は、SVOCの文型。S=Older people、V=find、O=it、C=more difficultである。itは仮に目的語として置かれているだけであり、その内容は実はto acquire 〜(〜を身につけること)である。find it difficult to 〜は「〜することを難しいと思う」の意。moreは比較のためについている。若い人たちとくらべている。動詞acquireの目的語になっているthe new skills required by technological changesは、名詞the new skills(新技術)に形容詞的用法の過去分詞required by technological changes(科学技術上の変化から要請される新技術)がかかっている形。したがって、全文訳に示したような意味となる。
選択肢は①「比較的年取った労働者に自分たちの経験をよりよく利用することができるようにする」、②「比較的年取った人たちに新しい仕事につく機会を与える」、③「比較的年取った労働者が新技術を身につけるのを容易にする」、④「比較的年取った人たちの知識と技術を時代遅れのものとする」ということなので、正解は④。enable O to 〜「Oに〜することができるようにする」、make use of 〜「〜を活用する」、out of date「時代遅れで」
問3 「ついに引退したのちは、たいていの人たちは〜引退したのちについては第3パラグラフに書いてある。特に第3文の後半がこの設問に対応している。it is unable to 〜のitがsociety at presentを指していることに注意しよう。it … to 〜となっているので仮主語の構文のように思えるかもしれないが、unableはこの構文をとることができない。したがって「今の社会は十分な機会を提供することができない」となっていて、その後に「機会」がどのような機会であるかを説明するto不定詞がきている。have satisfying social roles after they retireの意味はつかめるであろう。
選択肢は、①「社会によって新しい社会的役割を与えられる」、②「必要な適応をするのに援助はいらない」、③「彼らの新しい状況においてはほとんど不利なことはない」、④「ほとんど独力で自分たちの社会的役割を作り出さなければならない」となるので,正解は④。adjustment「適応、順応」、work out「作り出す、作り上げる」
問4 「第4パラグラフによれば、今日の社会における年寄りの人たちの占めるべき位置は、ほぼ〜に依存する第4パラグラフの主旨は、老人のために機会を提供しようではないかということだから、選択肢①「問題をいくつ解決できるか」、②「最後に仕事から引退する時の年齢」、③「地域社会内での引退した人の数の急速な増加」、④「社会からどのような機会を与えられるか」の中では④がよい。according to 〜「〜によれば」、the age at which 〜=the age when 〜、increase in 〜「〜の増加」
コラム 英文を読み解くカギとしての接続詞(2)
この文章は非常に多くの接続詞が登場している。接続詞によって意味の関係をはっきりさせてくれているので、親切な書き方と言えよう。内容上の対比を明確にするものとしては、while, whereasがあった。逆の事を言う目印としては、but, however, althoughがあった。並列・追加の目印としては、and, moreoverがあり、言い換えの印としてはthat isがあった。また、sinceが理由を表すものとして使われていた。どのような内容がどのような内容とどのようにつながれているのかに注意すると、読解力がアップする。
第15問 父の教え
I remember a lesson I learned from my dad on a warm spring day many years ago in northern Minnesota. As we fished for trout on the Prairie River my attention was drawn to a flight of geese heading north to their summer home in Canada. My youthful curiosity aroused, I asked my dad why the geese were flying in a "V" formation. He said geese fly in formation because they can travel up to 30 percent faster in formation than if they fly individually.
Each goose was flying independently, and yet they were all flying together. The formation's structure gave them the extra speed. The formation also meant that there was always a goose that led the entire group.
They also knew where they were going. They had a goal — their summer home in Canada. You have never heard of a flight of geese giving up and stopping in Kansas. They always reach their goal.
There is more to the lesson of the geese. The next thing my dad told me was that when a goose becomes too tired to continue the journey, at least one other goose stays with it — to watch over it until it is strong enough to fly on.
My dad also told me the geese take turns in the lead position, the most demanding position in the "V" formation. When the lead goose begins to tire another quickly takes its place, enabling the lead goose to fall back into line to rest and regain energy.
Lastly, my dad said the noisy honking that draws your attention to a flight of geese also has its purpose. He told me the noise came from the geese at the back of the "V" honking encouragement to the geese in the more difficult roles at the front of the "V".
The migrating geese flew on to their destination in Canada. The memory of that warm spring day on the Prairie River in northern Minnesota is melted into the memory of many similar days of my youth. But the lesson I learned from my dad that day will never be forgotten.
問1 渡りをする雁はどのような形で飛ぶか。またなぜそのような形で飛ぶか。
問2 先頭を飛ぶ雁はどのような役割を持つか。またその雁が疲れた時,雁の群れはどうするか。
問3 後方の雁は群れの中でどのような役割を持つか。
問4 群れの中の一羽が疲れて飛べなくなった時,群れはどうするか。
問5 この文章は人間の集団行動のあるべき姿について教訓を述べたものである。それらの教訓のうち4つを答えなさい。順序は問わない。
[語句と構文]
□learn a lesson 教訓を学ぶ
□northern 北の
□Minnesota ミネソタ
□as 〜 〜のときに
□trout マス
□on 〜 〜の川岸で
□draw …'s attention to 〜 …の注意をに引く
□a flight of geese 飛んで行くガンの群れ(geeseはgooseの複数形)
□head north to 〜 北の〜に向かう
□youthful 若々しい、若者の
□curiosity 好奇心
□arouse 刺激する
□My curiosity aroused =My curiosity being aroused(分詞構文)
□formation 隊形
□up to 〜 最大〜まで
□individually 個々に
□independently 自主的に
□and yet しかし(=but)
□structure 構造
□extra 余分の、特別の
□mean that 〜 〜を意味する
□lead 導く(lead-led-led)
□entire 全体の
□goal 目的地
□hear of 〜 〜のことを聞く
□give up あきらめる
□a flight of geese giving up... =a flight of geese that gives up...。
□there is more to 〜 〜にはそれ以上の(もっと重要なこと)ことがある
□the next thing ...was that 〜 ...である次のことは〜だった
□continue 続ける
□at least 少なくとも
□watch over 〜 〜を見守る
□… enough to 〜 〜するほど十分…
□fly on 飛び続ける
□take turns in 〜 〜を交代する
□position 位置
□demanding 重要な
□tire 疲れる
□take 〜's place 〜の代りをする
□enabling ... =and enables ...。
□enable O to 〜 Oが〜できるようにする
□fall back 後退する
□rest 休憩する
□regain 回復する
□lastly 最後に
□noisy 騒々しい
□honk (ガンが)鳴く
□purpose 目的、意味
□encouragement 激励
□role 役割
□migrate 渡りをする
□destination 目的地
□memory 思い出
□be melted into 〜 〜に溶け込んでいる
□similar よく似た
[本文の主旨]
今でもよく覚えているが、私は子供の頃雁が隊形をとって飛ぶ理由を父から教わった。雁はV字の隊形を保ってグループとなって飛ぶ。 雁には目的地がわかっていて、必ずそこに着く。 雁は脱落者を保護する。 雁はリーダーが疲労すると、別のリーダーと交代する。雁の騒々しい鳴き声は先導役の仲間への激励 の声なのだ。 遠い昔の思い出だが、父の教訓は忘れられない。
[全文訳]
私は、何年も前のある暖かな春の日に、北ミネソタで、父から学んだ教訓のことを覚えています。プレーリー川の岸でマス釣りをしていたときのことですが、私はカナダの夏の生息地に向かって北に飛んでいく雁の群れに、注意を引かれました。若者ならではの好奇心を刺激されて、なぜガンがV字形の隊形をとって飛んでいるのか、私は父に聞きました。父はガンが隊形をとるのは、1羽1羽別に飛ぶよりも最高30%まで速く進むことができるからだと教えてくれました。
それぞれの雁は自らの意志で飛んでいるが、しかし、全員がまとまって飛んでいる。その隊形の構造のおかげで、よけいにスピードが出る。また、その隊形は、グループ全体を率いる雁がいつも必ず1羽いることを意味する、ということでした。
雁はまた、自分たちの行き先を知っている。カナダの夏の生息地であるゴール地点を持っているのだと、父は教えてくれました。雁の一隊がカンザスであきらめて飛ぶのを止めてしまうという話は、だれも聞いたことがないはずです。彼らは必ず目的地に着くのです。
雁についての父の教訓には、もっと重要なことがあります。父が教えてくれた2つめのことは、1羽の雁が疲れて旅を続けられなくなったときには、他の少なくとも1羽のガンがそれといっしょにとどまって、飛び続けることができるくらい元気になるまで見守るということでした。
雁は、V字形における最も重要な位置である先頭の位置を交代するということも、父は教えてくれました。先頭の雁が疲労すると、別の雁がすぐに交代し、それまで先頭にいた雁が列の後方に退いて休養し、エネルギーを回復できるようにするのだそうです。
最後に、人の注意を隊列に向けさせる、あの騒々しい鳴き声にも意味があるということを父は教えてくれました。その騒がしい鳴き声は、V字形の最前部で自分より困難な役割を務める仲間に向け、後方から激励の声を飛ばす雁が発しているのだよと父は教えてくれました。
渡りの最中であった雁は、カナダの目的地目ざして飛び続けていきました。あのうららかな春の日の、北ミネソタのプレーリー川の岸辺での思い出は、それとよく似た私の幼い頃の日々の思い出と溶け合っています。しかし、その日父から学んだ教訓は、決して忘れることはないでしょう。
[解答と解説]
解答
問1 V字形。そのほうが1羽1羽が勝手に飛ぶときよりも最高で30%までスピードが上がるから。
問2 群れを率いるリーダーの役割。別の雁がリーダーの役割を引き受け、もとのリーダーに休養をとらせる。
問3 前方で重要な役割を担っている仲間の雁に向かって鳴き声で激励する役割。
問4 いっしょにいて元気になるまで見守る雁を少なくとも1羽は残す。
問5 1.1人1人勝手に行動するよりも集団で行動したほうがよい。
2. 集団の1員が倒れたら助けるべきだ。
3. 集団のリーダーが疲労したら、交代するべきだ。
4. 集団内の他の者はリーダーを激励するべきだ。
解説
問1 第1パラグラフの第3文を見よう。なぜV字形で飛ぶのか、子(筆者)が父に聞いている。父は子の問いにすぐに答えている。第4文の内容が、この設問の答えである。up to 30%(30%まで)は副詞句で、fasterを修飾して、どの程度速くなるのかを表している。than if 〜は見なれない言い方かもしれないが、than they can travel fast if they fly individuallyということ。つまり、thanの前後では飛ぶスピードが比べられている。
問2 第2パラグラフの第3文を見よう。V字形のまた別の意味があきらかにされている。ledはleadの過去形。リーダーが疲れたときのことについては、第5パラグラフの第2文に述べられている。enablingは分詞構文で、and enablesと言いかえることができる。
問3 後方の雁の役割については、第6パラグラフに述べられている。第2文は構造が難しいが、次のようにとらえることができる。
S V 修飾語句
the noise came [from the geese (at the back of ...) honking encouragement to the geese (in the ...)] ↑ |
つまりSVの文型。ただし、修飾語句の部分が複雑。修飾語句from 〜の中身はthe geese ... honking 〜だが、このhonkingは形容詞的用法の現在分詞。that were honkingと言いかえることができる。
しかし、それにしても、honk encouragement to 〜という表現がまだ難かしい。この表現を辞書に探してもむだ。これはgive encouragement to 〜(〜を激励する)をひねって、この文章のコンテキストに限って使用したもの。だから、読む者としては、honkingの後ろにgivingが見える必要がある。見えるかどうかは、語句についての深い知識と読解力によって決まる。
問4 群れの中の一羽が疲れて飛べなくなった時については、第4パラグラフに書いてある。ダッシュの後ろのto watchという不定詞は、「目的」または「結果」を表すもの。このダッシュはあってもなくてもあまり意味的には変わりがない。to watch以下の教訓を際立たせるためのものだろう。
問5 この文章が人間の集団行動のあるべき姿について教訓を述べたものであるかどうかは、はっきりしない。というのは、筆者自身がそうだとは明言していないからだ。しかし、この設問を作った人(九州大学の出題者)は、そうであるととらえた。
ただし、本文の中の"I"は、「人間の」かどうかはわからないけれども、ともかく集団行動のあるべき姿を父から教えられたとおそらく思っているに違いない。このように納得してから教訓らしきものを本文中に探すと、解答に示した4つのことが見つかる。
コラム 分詞構文の意味上の主語
この文章には分詞構文が2つ登場している。1つは第5パラグラフの中のanother quickly takes its place, enabling...の部分で、もう1つは、第1パラグラフ内のMy youthful curiosity aroused, I asked ...の部分。それぞれ、enablingとarousedが分詞だ。
enablingのほうは、誰がenableするのかは、主節の主語を見て解釈する。主節の主語はanotherだから、another(=another goose)がenableするのだと判断できる。一方arousedのほうは、何がarouseされたのかは、その前にはっきりと示されている。my youthful curiosityがarouseされたのだ。
以上のことを逆から見ると、
● another ..., (another) enabling ...
S = 意味上のS
● (my curiosity) aroused, I ....
意味上のS ≠ S
のように、Sと、分詞の意味上のSとが異なるときにのみ、分詞の意味上の主語を分詞の前に置くことがわかる。
第16問 時間
If you can read a clock, you can know the time of day. But no one knows what time itself is. We cannot see it. We cannot touch it. We cannot hear it. We know (1)it only by the way we mark its passing. For all our success in measuring the tiniest* parts of time, time remains one of the great mysteries of the universe.
One way of thinking about time is to imagine a world without time. There could be no movement, because time and movement cannot be separated. A world without time could exist only as long as there were no changes. For time and change are linked. When something changes, you know time has passed. In the real world, changes never stop. Some changes happen only once in a while*, like an eclipse of the moon*. ( 2 ) happen repeatedly, like the rising and setting of the sun. People have always noted natural events that repeat themselves. When people began to count (3)such events, they began to measure time.
In early human history, the only changes that seemed to repeat themselves evenly* were the movements of objects in the sky. The most easily seen result of these movements was the difference between light and darkness.
The sun rose in the eastern sky, producing ( 4 ). It moved overhead and sank in the western sky, causing ( 5 ). The appearance and disappearance of the sun was even and unfailing*. The periods of light and darkness it created were the first accepted periods of time. We have named each period of light and darkness one day. People saw the sun rise higher in the sky during the summer than in winter. They counted the days that passed from the sun's highest position until it returned to that position. They counted 365 days. We now know that is the time Earth takes to move once around the sun. We call this period of time a ( 6 ).
(注)tiniest: 最小の only once in a while: 非常にまれに an eclipse or the moon: 月食 evenly: 均等に、規則的に unfailing: 絶えることがない
問1 下線郎(1)のitが指すものを,次のア〜オより1つ選び,記号で答えよ。
ア clock イ day ウ time エ way オ passing
問2 空所(2)に入れるのに最も適切なものを次のア〜オより1つ選び、記号で答えよ。
ア Those イ What ウ Few エ Nothing オ Others
問3 下線部(3)のsuch eventsの具体例を考えた場合、最も不適切なものを次のア〜オより1つ選び、記号で答えよ。
ア 月の満ち欠け イ 月食 ウ 季節の移り変わり エ 昼と夜が繰り返されること
オ 太陽の南中高度の変化
問4 空所(4),(5)に、それぞれ本文中の単語を用いて、1語ずつ入れよ。
問5 空所(6)に適切な英語1語を入れよ。
問6 本文の内容と一致するものを次のア〜オより1つ選び、記号で答えよ。
ア A clock is one of our earliest inventions to memorize the passing of time.
イ Scientists have been analyzing time by separating it from movement.
ウ To measure time has been the most effective way of challenging the mysteries of the universe.
エ People can know that time has passed when some changes happen.
オ In ancient times, the irregular movements of objects in the sky gave people a good opportunity for measuring time.
[語句と構文]
□mark しるしをつける、マークする
□its passing それが過ぎること
□for all 〜 〜にもかかわらず
□our success in 〜ing 〜することにおいて私たちが成功していること
□For all our ..., = Though we have succeeded in ...,
□tiny 小さい
□One way of 〜ing 〜するための1つの方法
□S is to 〜 Sは〜することである
□There could be no 〜 〜はありえないだろう(仮定の想像のことなのでcouldは仮定法過去)
□separate 分離する
□exist 存在する
□as long as 〜 〜であるかぎり
□for ... というのも... だから(このforは接続詞)
□be linked かたく結びついている
□repeatedly 繰りかえし(副詞)
□natural events 自然界の出来事
□repeat itself 同じように繰り返す
□count 数える
□measure 計る
□evenly むらなく cf. even「むらのない」
□objects in the sky 天体
□the most easily seen result of 〜 最も簡単に見てとれる〜の結果
□difference between Aand B AとBのあいだの違い
□producing = and produced(分詞構文) produce「生み出す」
□overhead 頭上を
□sank 沈んだ(sink-sank-sunk)
□causing = and caused(分詞構文) cause「もたらす」
□appearance 出現(動詞appearの名詞形)
□disappearance 消失(動詞disappearの名詞形)
□the periods of light and darkness 光と闇の期間
□create 生み出す
□accepted 認知された、認められた
□see+O+(原形) Oが〜するのを見る
□position 位置
□the time S takes to 〜 Sが〜するのにかかる時間(cf. S takes (時間) to 〜.(Sは〜するのに(時間)かかる))
[本文の主旨]
時間が何であるかは謎だ。時の経過は変化によって計れる。自然界の出来事により時間が計られはじめた。 初期の人間に簡単に見てとれたのは光と闇の交代だった。 人は光と闇の1回を1日と呼んだ。太陽がもとの位置に戻ってくる日数分を1年と呼んだ。
[全文訳]
時計から時間を読みとることができれば、1日のうちの時刻を知ることができる。しかし、時間そのものが何であるか知っている者は誰もいない。時間は目に見えない。時間は耳に聞こえない。時間はそれが過ぎたことをしるしづける方法によってしか知ることができない。私たちは時間の最も小さな部分を計ることに成功しているが、それでも依然として時間は、宇宙の大きな謎の1つである。
時間について考えるための1つの方法は、時間のない世界を想像してみることである。そこではいかなる動きもありえないだろう。なぜなら、時間と動きとは切り離すことができないからだ。時間のない世界は、変化というものがまったくない場合にかぎり、存在しえるだろう。というのも、時間と変化とは、かたく結びついているからだ。何かしらが変化すれば、人は時間が過ぎたことがわかる。現実の世界では、変化は止まることがない。月食のように時々起こる変化もある。また、日の出、日の入りのように、繰り返し起こる変化もある。人はずっと、同じことを繰り返す自然界の出来事に注目してきた。そのような出来事を数えはじめたとき、人間は時間を計りはじめたのである。
人間の歴史の初期において、唯一むらなく繰り返されるように思えた変化は、天体の動きであった。こういった変化の成りゆきのうち、最も簡単にうかがい知れたのは、光と闇の交代だった。
太陽は東の空に昇り、光を生み出した。頭上を動いていき、西の空に沈み、闇をもたらした。日の出、日の入りは、必ず起こり、むらがなかった。太陽の生み出す光と闇の周期が、最初に受けいれられた時の周期となった。人間は光と闇の1回分に1日と名前をつけた。また、夏には、太陽が冬よりも空高く上がることに気づいた。太陽が最高の位置にある日からまたその位置に戻るまでの日数を数えた。365日であった。今の私たちには、地球が太陽のまわりを回るときにかかる時間がそれであることがわかっている。この時の周期を人間は1年と呼んでいる。
[解答と解説]
解答
問1 ウ
問2 オ
問3 イ
問4 (4) light (5) darkness
問5 year
問6 エ
解説
問1 指示語のitが指すものを答えさせる問題。このitの前にitが3つ連続しているが、すべてtimeを指している。第1パラグラフ第2文の中のtime。このtimeにはwhatがついているが、「何時」のwhat timeでないことに注意する。what time itself isは、間接疑問の節で、もとWhat is time itself?(時間そのものは何であるか)という疑問文だったもの。このself形の代名詞の用法は、名詞の直後に置いて「〜自身」あるいは「〜そのもの」といった強調的な意味をつけたすものである。itselfもtimeを指すから、実は同じものを指すitが4つ連続していたのだ。
問2 空所(2)は、直前の文がsomeで始まっていることに注意すると解ける。Some 〜. Others …(〜であるものもいれば、…であるものもいる)という構文は見たことがあるにちがいない。
ここの2文は、形がきれいに対応している。動詞はどちらもhappen。happenの後ろにあるonly once in a whileとrepeatedlyという副詞も対応関係にある。同じ形の2文を並べて、意味の対比を強くしている。そういった構文的なことに注意することが読解の基本。
問3 suchはsuch単独で、指示する働きのある代名詞として使うこともあるが、このように名詞の前に置いて、形容詞的に使うこともある。指示する働きがある点は変わりがない。such eventsが何のことを指しているかは、前文を見ればよい。natural events that repeat themselves(繰り返される自然界の出来事)という語句がある。
この具体例としてどれが不適切かは、前問で問題となった2文の内容から判断される。an eclipse of the moonは時々(once in a while)しか起こらないことの例として示されていた。
問4 空所(4),(5)は、それぞれその前がproducingとcausingである。このing形は分詞構文で、どちらもand 〜のように言いかえることができる種類の分詞構文。この分詞構文は、「引き続いて起こること」をつけたすときに使われる。「太陽が東に昇って、〜が生み出され、西に沈んで、〜がもたらされる」という具合になっている。ふつうに考えると、昼と夜だが、nightが本文中に出てこないので、代りにlightとdarknessにする。
問5 空所(6)を含む文は「SはOをCと呼ぶ」の意味のS call OCの文。this period of timeがthe time Earth takes to move once around the sunを指していて、thatが365 daysを指しているという流れに乘りそこなわなければ、楽にyearを入れることができるだろう。
問6 ア 「時計は時の経過を記憶しておくための人間の初期の発明品のうちの1つである」 memorize「記憶する、暗記する」常識的にもおかしな内容であり、本文にも出てこない内容。
イ 「科学者たちは時間を動きから分離することによって時間を分析してきている」analyze「分析する」この文章に科学者は登場していない。
ウ 「時間を計ることは、宇宙の謎に挑戦する最も効果的な方法であった」effective「効果的な」本文に言われていない。
エ 「変化が起こったときには、時間が過ぎたことがわかる」2パラグラフ第5文の言いかえ。
オ 「古代には、天体の不規則な動きが人々に時間を計るよい機会をもたらした」an opportunity for 〜ing「〜する機会内容がおかしい。
コラム 意味よりもまず形
本問の問2は、Some 〜. Others 〜.の対応関係に気づかなかった場合、意味から決めようとすると、かなり難問になり、時間がかかるだろう。選択肢の語をいちいち入れて、ああでもないこうでもないと考えることになる。
しかし、問題を解く場合、これがむだでしかないことは解説を読んでつかんでくれたことと思う。英語の文章は日本語の文章とくらべると、構文や文型のレベルで対比的な書き方をしているものが非常に多い。文章を読みながら意味をつかんでいくのは当然のことであるが、その一方で、こういった文の形にも、注意を払っていってもらいたい。