目次
第1問 動物のコミュニケーション
第2問 サイクリング・レース
第1問 動物のコミュニケーション
次の英文を読み下の問に答えよ。 [常葉学園浜松大学]
Animals communicate with each other not only with sounds and movements, but with smell. (1)Most animals that live in herds depend on smell to keep together. And, of course, we know how dogs recognize each other by smell.
Apes are supposed to be among the most intelligent of animals, ( 2 ) they really have no better "language" than other animals. They make many sounds and expressions of the face to communicate their feelings of anger or hunger or joy, but they have nothing like the words of human speech.
By the way, unlike human beings who have to learn how to talk, apes and other animals know their "language" by instinct. They will make the right kind of cries and sounds and expressions even if they have never seen another animal like themselves before.
Birds, however, learn their way of singing, at least in part. That's why a sparrow brought up among canaries will try to sing like (3)one. It has been learning the ( 4 ) "language"!
問1 下線部(1)を和訳せよ。
問2 空所(2)に入れるべき語を一つ選べ。
and,but,so,because
問3 下線部(3)を2語で書きかえよ。
問4 空所(4)に入れるべき語を一つ選べ。
right,wrong,wonderful, unknown
[語句と構文]
□communicate with 〜 〜と意思を伝えあう
□not only 〜 but (also) … 〜ばかりでなく…も
□sound 音声、音
□movement 動作、身振り
□live in herds 群をなして暮す
□depend on 〜 〜に頼る
□keep together いっしょにいる、離れない
□recognize 見分ける,認める,認識する
□ape サル
□be supposed to be 〜 〜であると思われている
□be among +(最上級) 〜のうちの1つである
□intelligent 知能の高い
□no better 〜 than … …とまったく変わらない
□make many sounds 多くの音声を発っする
□make many expressions of the face 顔の表情をいろいろ変える
□feelings 感情
□anger 怒り(形容詞angryの名詞形)
□hunger 空腹、飢え(形容詞hungryの名詞形)
□human speech 人間の話し言葉
□by the way ところで(話題の転換に用いる)
□unlike 〜とは異なり
□human beings 人間
□by instinct 本能により
□the right kind of 〜 適切な種類の〜
□even if 〜 たとえ〜でも
□however しかしながら(副詞だが接続詞的な働きを持ち、前に述べたことを受けて、これから述べることにつなぐ)
□one's way of 〜ing 〜するしかた
□at least 少なくとも
□in part 部分的に
□That's why 〜 そういうことで〜である
□sparrow スズメ
□bring up 育てる
□canary カナリア
[本文の主旨]
動物はにおいをもコミュニケーションの手段にする。サルは感情を伝えあうために多くの音声や表情を用いるが、人間の言葉のような言葉は持っていない。動物たちは「言葉」を本能的に知っている。 鳥はさえずり方を学習する。
[全文訳]
動物たちは互いに、音声や身振りばかりでなく、においによっても意思を伝えあう。群れをなして暮しているたいていの動物たちは、集団としてのまとまりを保つためににおいに頼っている。そして、犬がどのようにしてにおいによって相手を認めあうのか、私たちにはもちろんわかっている。
サルは動物たちの中で最も知能が高いとされているが、実際のところは、ほかの動物たちと同じ程度の「言葉」しか持っていない。サルは怒りや空腹や喜びの感情を伝えあうために、多くの音声を発し、顔の表情をさまざまに変えるが、人間が話し言葉において使う単語のようなものは持ち合わせていない。
ところで、人間は話すことを学ばなければならないが、そういう人間とは異なり、サルやほかの動物たちは自分たちの「言葉」を本能的に知っている。彼らは、以前にたとえ見たことがなくとも仲間の者に対しては適切な叫び声や音声を出し、適切な表情をこしらえる。
しかしながら、鳥はさえずり方を学ぶ。(全部ではないにしても)少くとも部分的にはそうだ。カナリアたちに混じって育てられたスズメがカナリアのようなさえずり方をしようとするのは、そのためである。そのスズメは、今まで間違った「言葉」を学んできたというわけになる!
[解答と解説]
解答
問1 群をなして暮しているたいていの動物たちは、集団としてのまとまりを保つためににおいを頼りにしている(においに頼っている)。
問2 but
問3 a canary
問4 wrong
解説
この文章は、動物のコミュニケーションのしかた、あるいは、動物の「言葉」をテーマにした文章。本文中に引用符のついた"language"が3回出てきているが、これは人間の言葉とは異なるので、ふつうにlanguageと呼ぶことはできないが、それでもコミュニケーションに使われるものとしては似ているので、その似ているものであることのしるしとして引用符でくくったもの。この引用符は、ほんものとはちょっと違いますよという意味のしるしだ。
問1 関係代名詞のthat、depend on 〜、to不定詞がポイント。文の主部は、most animals that live in herds。thatは主格の関係代名詞。herdは「群れ」という意味。inは「あるものが取る形」を表すもの。たとえばin a circle(円を描いて)や、in a line(列になって)などのinと同じ。なぜ複数形になっているのかは「いくつかの群れ」という意味を含むから。この「いくつかの」は必ず訳出しなければならないものではない。
depend on 〜は「〜に頼る」。to keep togetherのto keepは「目的」の意味を表す副詞的用法の不定詞。keep togetherは「まとまっている」という意味。「togetherでいる状態を保つ」が原義。文型的にはkeep being togetherのbeingの省略と考えられる。keep 〜ing「〜したままでいる」。being togetherはbe together(いっしょにいる)の分詞形と考えられる。
問2 動物の中でも最も人間に近いと思われているサルについての段落。この段落は2文でできているが、後のほうの文が前の文の内容とほぼ同じようなことを言っていることに注意しよう。後の文は前の文の言いかえにすぎないが、このように少し言いかえて並べると、意味に奥行きが生れる。解答は後の文のコンマの後にあるbutが、そのまま入る。
問3 この問題は何よりもまず、このパラグラフの意味がつかめていないと解けない。少くともa sparrow brought up among canaries will try to sing like...の意味がわからなくてはならない。brought up among canariesは過去分詞の形容詞的用法で、which was brought up among canariesと言いかえることができる。willは「習性」を表す。「だろう」という意味ではなく、「〜するものだ」という意味である。この部分はまわりがカナリアであると、スズメでもカナリアのように鳴こうとするということを言っている。like 〜「〜のように」。
問4 前段落のrightの意味がわかれば解ける。the right kind of cries and sounds and expressionsのrightである。 rightは「正しい、適切な」という意味だが、この文章の場合の「正しさ、適切さ」とは、第3段落の内容からして、another animal like themselves(自分の仲間)に会ったことがなくても自分自身の叫びごえや表情ができるという正しさ、適切さであることをつかむ。カナリアの中で育てられたスズメには、この正しさがわからない。そのスズメは、rightでない、rightの反対であるwrongの、languageを学んできたと言ってもよい。
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コラム 起承転結
起承転結(きしょうてんけつ)とは、漢詩と呼ばれる、昔の中国詩がとったパターンのこと。起は「言い起こす」、承は「受ける」、転は「展開する」、結は「結ぶ」を意味する。このパターンは中国詩に限らず、一般的な文章のパターンとしてもかなり認められる。というのも、このパターンに従うと文章に落ち着きが出るからである。今回の本文もこのパターンに近い。「動物はにおいでコミュニケーションする」→「サルは賢いと思われているがそうでもない」→「ところで動物の言葉は本能に基づく」→「でも鳥は学習する」。きれいな起承転結ではないが、かなり起承転結に近い.